社会人1年目、ポルシェを買う。

2023.12.24

【社会人1年目、ポルシェを買う。】第151話:2023年はスキルアップできたのか?

限界領域でフレームがしなる?

昨年のレースは、自分の走りをロガーで見直し
先輩方からアクセルやブレーキ/ライン取りの
アドバイスを受けることで大幅に成長した。

ことしはポールポジションスタート(くじ引き)でした。

とはいえ攻略本を使ってゲームをする感覚で
マシンとの対話という観点では不足があった。

たとえば先輩たちがおっしゃる
「限界速度域でフレームがしなる感覚」
とかは、まだわからないレベルだった。

攻略法はもちろん必要だけれど、
もっと高い領域に行きたい! というのが
今年の目標であった。

小さくて軽いマシン。
大きくて広いサーキット。
ほんのわずかなアクセル操作や
身体の傾きで挙動が変わるカートマシン。

去年よりも繊細にマシンの動きに耳を傾け
タイムより丁寧さを意識しながら走った。

とはいえ怖さは相変わらず。それに暑さ。
他のマシンとの間合いなどを意識して
ひたすらマシンの小さな反応に耳を澄ます。

3周ようす見。どれくらいからマシンが滑るか
どれくらいのブレーキングで破綻するか
最低速度を落とさぬように注意しながら試した。

途中から、すっと体の力が抜けて
ずっと先のコーナーまで見えるくらいの
クリアな感覚になった。
コーナー。すべての動きを丁寧に。
横Gがかかりタイヤがわずかに滑りながら
最低限の舵角で前に進んでいる。

パキンパキンパキンパキン
小さな音を立てながらフレームがしなる。
これかーーーー!
このとき僕は自己ベストタイムを更新した。

ちなみにわたしはデブになった。
10年で10kg太った。
だから自己ベストとはいえ、
ぴたりとしたレーシングスーツを着ても
まったく恥ずかしい体型ではない20代前半の
しかも度胸ある若手ドライバーと比べると
それでも2秒くらいわたしの方が遅い。

しかしわたしは達成感があった。
速い先輩たちの仰ることが少しだけわかったのだ。

記事に関わった人々

  • 上野太朗

    Taro Ueno

    1991年生まれ。親が買ってくれた玩具はミニカー、ゲームはレース系、書籍は自動車関連、週末は父のサーキット走行のタイム計測というエリート・コース(?)を歩む。学生時代はボルボ940→アルファ・スパイダー(916)→トヨタ86→アルファ156→マツダ・ロードスター(NC)→VWゴルフGTIにありったけのお金を溶かす。ある日突然、編集長から「遊びにこない?」の電話。現職に至る。
 
 

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