【凍結路もグリップ】ダンロップ・シンクロウェザーの実力を検証:実践編 ドライから圧雪まで高い走行性能 

公開 : 2025.03.03 15:00

オールシーズンタイヤが苦手な凍結路も安心

猪苗代磐梯高原ICで高速道路を降り、まずは猪苗代湖畔へ。

晴天、気温4℃、無風。路肩に積雪はあるものの、路面に雪なく茫然。はからずも、ドライ路面のワインディングロードのインプレッションまで取れました。感触としてはトレッドセンター部の接地感が高く、接地面をショルダー部の剛性で支えているのではなく、トレッドセンターを中心に接地面全体でとらえているように感じられました。これが接地感や安定感を作り出しているのでしょう。

猪苗代湖畔にも雪はなく、思いがけずドライのワインディングロードでの性能も試すことができた。印象的だったのは、高い接地感や安定感だ。

雪道を求め、たどり着いたのは磐梯山麓の牧場付近。気温が4℃と高かったこともあって、雪はややシャーベット気味。しかしこれがシンクロウェザーの性能の一端を引き出すことに。

雪上でのトラクションは、主にトレッドデザインがモノを言うパート。雪を踏みしめ後方に蹴り出すトラクション性能です。半ばシャーベットになった圧雪路の運転はこのトラクション性能を使って、かつタイヤが空転しないように雪を嚙み込むのがコツ。丁寧なアクセル操作で緩んだ圧雪をつかみながら傾斜を登る、シンクロウェザーは、そんなことが普通にできてしまうのです。

ようやく見つけた氷雪路は、磐梯山麓の牧場付近にあった。シャーベット状の圧雪に覆われた傾斜も、しっかりトラクションを発揮して力強く進む。

つまりは、Ⅴ字パターンの角度と溝幅の設計が適切だということです。コンパウンド性能だけでなく、トレッドパターンもこだわって設計されているのでしょう。

そのトラクションを生むトレッドパターン。適切な角度と幅を持つ溝が、圧雪をしっかりつかんでくれる。

また牧場付近へ向かう道の途中には、圧雪がそのまま凍結した、従来のオールシーズンタイヤであればできるだけ避けたい路面に遭遇。しかも下り勾配です。

ところがシンクロウェザーは、下りの凍結路面でもちゃんとブレーキが効いてくれるのです。ABSの介入もなし。この安心感と信頼感はなにものにも代えがたい性能です。

従来のオールシーズンタイヤが苦手とする凍結路面、それも下り勾配でブレーキを踏んでも、ABSが介入することなく効いてくれる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    斎藤聡

    1961年生まれ。学生時代に自動車雑誌アルバイト漬けの毎日を過ごしたのち、自動車雑誌編集部を経てモータージャーナリストとして独立。クルマを操ることの面白さを知り、以来研鑽の日々。守備範囲はEVから1000馬力オバーのチューニングカーまで。クルマを走らせるうちにタイヤの重要性を痛感。積極的にタイヤの試乗を行っている。その一方、某メーカー系ドライビングスクールインストラクターとしての経験は都合30年ほど。
  • 撮影

    田中秀宣

    Hidenobu Tanaka

    写真が好きで、車が好きで、こんな仕事をやっています。
    趣味車は89年式デルタ・インテグラーレ。
  • 編集

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

ダンロップ・シンクロウェザーの実力を検証の前後関係

前後関係をもっとみる

関連テーマ

おすすめ記事


人気記事