【女神と呼ばれた巨人】デイムラーDE36 フーパー グリーン・ゴッデス 後編

2020.08.02

サマリー

グリーン・ゴッデスと呼ばれたデイムラーDE36。新車時でも7台のみ、現存するのは5台という、貴重なクラシック・ラグジュアリーです。英国のコーチビルダーが有した高い技術力を伺い知れる1台を、ご紹介しましょう。

もくじ

エジプトのファールーク王の影
現存するグリーン・ゴッデスは5台
美しい巨大なボディに機能的な直列8気筒
穏やかな走りと豪奢な乗り心地
英国コーチビルダーの技術力が生んだ極み
デイムラーDE36 フーパー・ドロップヘッド・クーペ「グリーン・ゴッデス」(1948年−1953年)のスペック

エジプトのファールーク王の影

text:Martin Buckley(マーティン・バックリー)
photo:John Bradshaw(ジョン・ブラッドショー)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
デイムラーDE36 グリーン・ゴッデスを販売するヴィンテージ&プレステージ社の代表、クリス・キトゥーが説明する。「フーパー社の手書きのノートには、7台のうちの2台目で、ファールーク王のために作ったと残されています。しかし、納車されていません」

「イングランドの、Fナイルドという人物へ引き渡されています。同時期にアフガニスタンの王も、リムジンを注文しています。リムジンのシャシー番号は、グリーン・ゴッデスに続く番号でした」

デイムラーDE36 フーパー・ドロップヘッド・クーペ「グリーン・ゴッデス」(1948年〜1953年)
デイムラーDE36 フーパー・ドロップヘッド・クーペ「グリーン・ゴッデス」(1948年〜1953年)

「Fナイルドという人物を、追うことはできませんでした。推測では、王の仮名ではなかったのか、と考えています。Fはファールークの頭文字で、ナイルドはナイル・デルタの略。つまり、カイロです」

「経済的に不安定な国からの高額商品の注文手法として、当時は一般的なものでした。しかし、あくまでも推測。正確にはわかりません」 と話すクリス・キトゥー。 

「軍事的な便宜の引き換えに用意された、政府からの贈り物だったのではないか、という推測もできます。ファールーク王は、以前に同様なことを受けています」

「ドイツのヒトラーは、港と空港を利用させてもらう見返りに、ファールーク王へメルセデス・ベンツ540Kコンバーチブルを贈っています。ファールークのクルマは、いつもボディカラーは赤でした」

「彼はクルマが大変好きで、定期的にショーイベントにも参加していました。55台のクルマを所有していたといいます」 クリス・キトゥーの推測は興味深い。

 
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