【直6エンジン・サルーン比較】ボルボ164とデイムラー・ソブリン2.8 1968年の同級生 後編

公開 : 2021.03.07 17:45

退屈なサルーンに見られてきた、ボルボ164とデイムラー・ソブリン。堂々とした佇まいから、近年は注目を集めるように変化しつつあります。英国編集部が2台をご紹介します。

走るオフィスのようなボルボ164の車内

text:Andrew Robrts(アンドリュー・ロバーツ)
photo:John Bradshaw(ジョン・ブラッドショー)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
デイムラー・ソブリン2.8が、高速でドライバーを1日中突き進ませてくれるのに対し、ボルボは164走るオフィスのよう。フロントシートには、快適性を高めるランバーサポートの調整機能もある。少し実用的な眺めで、レザー張りの内装に違和感もなくはない。

ソブリンでは複眼のメーターを眺めて運転するところだが、164ではフェイクウッドのダッシュボードに大きなサイドバー・タイプのスピードメーターが鎮座する。低い位置にあるヒーターの送風口とコラム式のATセレクターが、当時らしさを強める。

ボルボ164(1968-1975年)
ボルボ164(1968-1975年)

今となっては、1960年代のテレビで流行ったギャグを耳にするより、はるかに珍しい2台だ。初代ジャガーXJの生産が終了したのは1973年。2.8Lの直列6気筒エンジンが選択されたのは、2万2555台に留まった。

ブランド違いのデイムラー・ソブリン2.8はさらに少ない。わずか3221台でしかなかった。

ボルボも、フラグシップ・サルーンの展開には苦しんだ。1972年にボッシュ製インジェクションを採用するが、144の上に位置する164は伸び悩む。1975年にボルボ264が発売されると当時に、164の生産は終りを迎えた。

マーク・ユーレットが所有するボルボ164は、オースチンA110ウエストミンスターに乗っていた彼の祖父が、自身の退職祝いとして購入したもの。1969年に、VHV539Gのナンバーを取得している。

「祖父はボルボを愛していました。1989年に亡くなると、祖母の移動手段としてわたしが運転してきました。状態を保つために、いくつかの修理も加えています」。とユーレットが振り返る。

高速の追い越し車線でも問題なし

1991年に祖母が亡くなると、クルマの所有権をユーレットが引き継ぐ。祖父の気持ちも受け継ぎ、ボルボのコンディションを維持する決意をしたという。

一般道を試乗させてもらう。ボルボ164は思いがけず速く、クルージングが得意。オプションだったパワーステアリングのアシストが大きく、操舵感は軽い。

ボルボ164(1968-1975年)
ボルボ164(1968-1975年)

「3.0Lの直列6気筒エンジンは、現代の交通の流れへ簡単についていけます。高速の追い越し車線でも問題ありません。車齢51歳のボルボに追い越されると、多くのドライバーは二度見するようですね」。ユーレットが笑う。

「クラシックカーで長距離を運転すると疲れるものですが、164なら流れるように運転するだけ。2019年のグッドウッドでは、前入りして友人と会うために夜中を走りました」

「片道160kmの旅でしたが、最高でしたよ。到着するまで清々しい気持ちでいられました。サスペンションはドライバーに優しい。コーナーを活発に走らせると、大きくボディロールしますけどね」

かつての自動車誌に載った、スポーティな魅力はほとんどないという内容には、彼も賛同する。「ボルボ164は、そのために作られたクルマではありません」

一方で、デイムラー・ソブリンを大切に乗っているダレン・ニューナム。幼い頃の思い出がきっかけだという。「父が同じクルマに乗っていたんです。6歳の頃、これに乗る日が来るかもしれない、と父が話したことがありました。その通りになりました」

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