なぜポルシェはリアエンジン車を作り続けるのか 継続でみえた可能性 再び主役に?

2019.05.28

100字サマリー

ポルシェ911(992)が日本国内で発表。ふとAUTOCAR JAPAN編集部は考えました。なぜポルシェは今も頑なにリアエンジン車を作り続けるのでしょう。吉田拓生が答えます。

text:Takuo yoshida(吉田拓生)

もくじ

RR、デメリットの果ての孤高
続けることで広がったRRの可能性
1周回ってRRが再び主役に?

RR、デメリットの果ての孤高

長野県、善光寺の御本尊は数え年で7年に1度ご開帳される。実際にお目見えするのはご本尊ではなくその御身代りなのだが、ひとびとはその瞬間をことさら楽しみにしている。

クルマのモデルチェンジもこれと似たサイクルで行われることが多く、1964年にデビューし今日まで幾代にも渡って繰り返されてきたポルシェ911の代替わりはその度に注目を集める。

その他大勢のモデルチェンジの肝が「変更された部分」にあるのに対し、911のそれは変わることのない大原則に重きが置かれている。911のご本尊、大原則と言えばそれはポルシェが頑なに拘ってきたリアエンジン・レイアウト(RR)に他ならない。

パワーを効率よく路面に伝えられる、とだけ説明されることが多いRRのメリットだが、原初の発想は違った。前輪が舵を切るものである以上、駆動は後輪で行うことが当然であり、また広い室内空間を求めるのであればノイズの大きなパワーパックはリアエンドに位置する方が好ましかったのである。

スポーツカーではなく2列シートを持った実用車のためのレイアウトとして重宝されたRRが、なぜポルシェ911へと継承されたのか。今さらその理由を長々と述べる必要はあるまい。1930年代にフェルディナント・ポルシェ博士が設計したドイツの国民車こそが博士の考える究極であり、911の精神的な原点だからである。

フォルクスワーゲン・ビートルが証明しているように、RRはコンパクトなエンジンを搭載した実用車の場合デメリットはあまり多くない。だがRRはパワーが増す毎に、エンジンが重くなる毎に、ターボによってその出力特性が急激になるほどに、ホイールベースが詰まるほど、リアタイヤを太くするほど、限界域における操安性がトリッキーになる傾向がある。

時代に合わせた動力性能を得るため、その全ての禁を犯し続けてきたクルマこそがポルシェ911であり、それがRRレイアウトのライバル不在という孤高のポジショニングを作り上げる要因にもなっているのである。

 
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