超高速域で手応えあり! 『アストン マーティン・ヴァンテージS』は、スーツを着た紳士のような振る舞い

公開 : 2026.06.02 12:05

アストン マーティンのニューモデル、『ヴァンテージS』は全方位的にパフォーマンスを高めた改良版で、最高出力は665psから680psに引き上げられています。そんな『S』の実力を、吉田拓生が超高速域で確認します。

680psを活かすためのアップデート

アストン マーティンのニューモデル、『ヴァンテージS』が上陸を果たし、その試乗会が千葉県南房総市のTHE MAGARIGAWA CLUBで開催された。

2023年にオープンしたこの施設は1周3.5kmのクローズドトラックを含む会員制のドライビングクラブだが、試乗会の舞台としても重宝されている。特に今回のヴァンテージSのようなハイパワーモデルを試すステージとして最適といえるだろう。

全方位的にパフォーマンスを高めた改良版『アストン マーティン・ヴァンテージS』。
全方位的にパフォーマンスを高めた改良版『アストン マーティン・ヴァンテージS』。    アストン マーティン

現行モデルは2017年にフルモデルチェンジが敢行され、その際V8ヴァンテージからヴァンテージへと名称も変更されている。2024年にはフロントまわりが大幅に変更され、同時にメルセデスAMGから供給されているV8ツインターボも155psアップとなる665psへスープアップされていた。

今回デビューしたヴァンテージSは全方位的にパフォーマンスを高めた改良版と言える1台で、最高出力は680psまで引き上げられている。そうなるとシャシーはもちろんエアロダイナミクスにも手が加えられているのは当然。パワートレーンを支えるマウント類の固定方法や硬さも変更されているという。

一目でわかるエアロはリアリッドの端を跳ね上げて見せるカーボン製のリップが印象的で、最高速時には44kgのダウンフォースを発生する。車体下の整流も含めると全体的なダウンフォースは110kgも増しているという。

では斜め上方に跳ね上がるドアを開け、カーボン筐体のバケットシートに収まって走り始めることにしよう。

240km/hでも平常心

コースは前半がストレートを含むハイスピード、後半がアップダウンを含むテクニカルなレイアウトだ。走り始めて感じるのは、バケットシートはもちろんだがコクピット全体が体にフィットするような空間になっていること。

スポーツモード+ATシフトのまま最初のストレートを加速してみると、各ギアで6600回転くらいまでキレイに引っ張り、軽く200km/hを超えた。驚くべきはその速度域でも車内が非常に静かなこと。スピードが出過ぎている! という緊迫感もないので、ラジオ局を選ぶことは難しいが、ボリュームを上げるくらいの操作ならできそう。

ブレーキングポイントの手前で240km/hまで最高速が伸びた。
ブレーキングポイントの手前で240km/hまで最高速が伸びた。    アストン マーティン

ストレートに入る手前の中速コーナーの脱出を頑張った2周目は、ブレーキングポイントの手前で240km/hまで最高速が伸びた。それでも車体が浮つくような感じは皆無で、むしろそこからさらに加速していける実感がある。6000回転で到達する680psよりも、そこに至る中回転域のトルクの太さのほうが印象的。最高速325kmはダテではないのだ。

空力特性を考えるとリアのオーバーハングがもっと長い方が良さそうに思うのだが、それでも全くスタビリティに問題がないのは、今回リアに追加された小さなスポイラーのおかげだろう。200km/hオーバーからのフルブレーキングの最中でもステアリングを修正する必要はなかった。

低い心拍数を保ったまま、コーナーのエイペックスを精確に狙っていける。これこそアストンマーティンが理想とするスポーツドライビングに違いない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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