9. マセラティグレカーレ・トロフェオ

長所:軽快な速さ、ラグジュアリーなインテリア、スムーズな乗り心地。
短所:エンジンのチューニングは完璧ではない。

マセラティは、かつての誇り高きイタリアンブランドとしての威厳を取り戻しつつある。スーパーカーのMC20はその象徴的存在であるが、グラントゥーリズモも復活し、EVも設定されている。しかし、少なくとも販売面で最も重要な新型車は、ポルシェ・マカンを彷彿とさせるミドルサイズSUV、グレカールであろう。

9. マセラティ・グレカーレ・トロフェオ
9. マセラティ・グレカーレ・トロフェオ

最上位のトロフェオ仕様には、ツッフェンハウゼンのSUVを追撃できる素質があることは確かだ。MC20と同じ3.0L V6ツインターボ「ネットゥーノ」が搭載され、最高出力530ps、0-100km/h加速はわずか3.8秒とされている。スポーツモードやコルサモードでは、エグゾーストノートも高まる。ベストなチューニングというわけではないが、軽快に走らせることができる。

サスペンションも強化されており、鋭さやコントロール性はマカンほどではないもの、そのポテンシャルは高い。リアバイアスの四輪駆動システムにより、コーナリングでの細かな姿勢制御も可能だ。

特筆すべきは、群を抜いて広い室内空間で、見た目にも高級感がある。ダンパーをソフトな設定にするとスムーズで洗練された走りを見せるなど、オーナーの生活にすんなりと溶け込む能力を持つ。

10. ランドローバーディフェンダー90 V8

長所:5.0L V8の無限の魅力、運転する楽しみがある。
短所:今回は予算オーバー。合理的とは言えない。

スーパーチャージャー付き5.0L V8エンジンを搭載したディフェンダー90 V8は、今回設定した予算を大幅に超過しているが、あまりに個性的で魅力的なので紹介させてほしい。

10. ランドローバー・ディフェンダー90 V8
10. ランドローバー・ディフェンダー90 V8

エンジン自体は他のJLRモデルにも搭載されているもので、洗練の極みとは言えないが、その魅力は否定できない。鼓動感と過給器のうなり声が、唯一無二のキャラクターを演出している。

ランドローバーのSVO(スペシャル・ビークル・オペレーションズ)部門による特別モデルではないが、22インチホイール、500ps以上の出力、そして芳しいエグゾーストノートなど、SVOの特徴も数多く見られる。開発チームは、運転するのに楽しいクルマを作ろうとした。彼らに話を聞くと、ラリーカーに近い雰囲気を作りたかったと言う。ガタガタした路面では特にバランスよく、軽快に走れるように、と。

乗り心地はなめらかで洗練されていて、不安になるほど速い。FタイプSVRやカイエン・ターボのようなハンドリングは難しいが(期待するのはお門違い)、ダイナミクスに甘美な味わいがあり、十分な加速を見せてくれる。つまるところ、決して合理的ではないが、実に愛らしいクルマなのである。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・ディスデイル

    James Disdale

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ。テレビゲームで自動車の運転を覚えた名古屋人。ひょんなことから脱サラし、自動車メディアで翻訳記事を書くことに。無鉄砲にも令和5年から【自動車ライター】を名乗る。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴとトマトとイクラが大好物。

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