日本の路上で試した中国製EV 性能以上に大事なポイントは面識の有無かも? BYDアット3

公開 : 2024.01.18 17:45  更新 : 2024.01.18 23:40

BYDアット3、実際に食指は動くのか?

BYDの日本進出1作目となるアット3は価格面でも魅力的だ。車両価格は税込み440万円だが、約90万円の補助金や減税措置を受けられるからである。

アット3の直接的なライバルはBEVに限ればフォルクスワーゲンID.4/メルセデスのEQB/トヨタbZ4X/ヒョンデアイオニック5といったところだろうか。だが前記の3台は160~300万円ほどお高いので、現実的には479万円~というアイオニック5が妥当だろう。

BYDアット3
BYDアット3

半日ほどの試乗ではあったが、普段使いできるBEVであることが確認できたBYDアット3。では個人的に食指が動くか、と考えてみるとすんなりと答えは出ない。

なぜか? 

話が振り出しに戻ってしまうのだけれど、たぶんそれは「BYDという中国メーカーと面識がない」からなのだと思う。面識という言葉を信用と置き換えてもいいだろう。それは経年変化を含めた物理的な信頼性もあるし、クラッシュテストの結果などではなく肌感覚としての衝突安全など全方位的な信用である。

BYDの日本法人は2025年までに100店舗の販売拠点をオープンさせると公言しており、その点はデジタルショールームを主とするヒョンデとはスタンスが異なる。信用を築くという点ではBYDに分があると思うが、それでも成熟した日本の自動車市場における信用はそう簡単に築けるものではない。

BEVブランドとして世界第2位の規模まで急成長した中国メーカーの今後の動向を見守りたい。

試乗車のスペック

価格:440万円(税込 オプションなし/補助金を除く)
全長×全幅×全高:4455×1875×1615mm
駆動方式:FF
車両重量:1750kg
電動機:交流同期電動機
定格出力(kW):65
パワーバッテリー:リチウムイオン電池
総電圧:390.4V
総電力量:58.56kWh
最高出力:204ps/5000~8000rpm
最大トルク:31.6kg-m/0~4433rpm
ギアボックス:1段固定式
タイヤサイズ:235/50R18(フロント)235/50R18(リア)

BYDアット3
BYDアット3

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。BMW 318iコンパクト(E46)/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 撮影

    小川和美

    Kazuyoshi Ogawa

    1986年生まれ。クルマ好きの父親のDNAをしっかり受け継ぎ、トミカ/ミニ四駆/プラモデルと男の子の好きなモノにどっぷり浸かった幼少期を過ごす。成人後、往年の自動車写真家の作品に感銘を受け、フォトグラファーのキャリアをスタート。個人のSNSで発信していたアートワークがAUTOCAR編集部との出会いとなり、その2日後には自動車メディア初仕事となった。
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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