日本の路上で試した中国製EV 性能以上に大事なポイントは面識の有無かも? BYDアット3

公開 : 2024.01.18 17:45  更新 : 2024.01.18 23:40

BYDのアット3に日本の公道で試乗しました。BEVブランドとして世界第2位の規模まで急成長した中国メーカーですが、性能以上に大事なものは面識の有無でしょうか。初対面の人と向き合うように触れてみます。

はじめましてのBYD、はじめまして中国車

さてどうやって書きはじめたらよいものか? 

そんなことで時間を使ってしまった理由を、あれこれ考えて出た結論は「BYDという中国メーカーと面識がない」というか歴史がないということかもしれないと思った。

BYDアット3
BYDアット3

例えばメルセデスの最新モデルを試乗する場合、先代というか歴代モデルの記憶があり、さらにはメーカーのスタンス、使い勝手などなどをある程度わかっているので、その続きとして書きはじめられるようなところがある。

読者の方たちに対しても同様で「基礎的な知識は省いても問題なかろう」という前提で書いてしまっているはずだ。ところがBYDは、まず社名のアルファベットの意味がわからない。と思ったら今回の試乗車、アット3(スリー)のリアにエンブレムとして掲げられていた。

曰くビルド・ユア・ドリームス(Build Your Dreams)社是をそのまま社名にしたような感じだろうか。ともあれ、AUTOCARの場合は先に英国編集部が残したアーカイブがあるので、まずは昨年6月に公開されているアット3の詳細データテストをいま一度お読みいただけると幸い。

アット3は見ての通りのクロスオーバーSUVである。全長は4455mmなので、トヨタC-HR以上、RAV4未満といったところ。床下に搭載されているバッテリーはBYD車の特徴である自社開発のブレードバッテリーと呼ばれるもの。58.56kWhの容量を持ち、一充電走行距離のカタログ値は470kmとなっている。さあ実車に触れてみよう。

いきなり完成度高し。骨太、タフな印象。

スタイリングの完成度、まとまり感は相当なもの。さすが元アウディのデザイナーが手掛けたというだけある。

一方フィットネスジムをモチーフにした(!)という内装はユニークだ。写真を大きくして見ていただきたいのだが、一言でいえばアソビ心溢れる=好き嫌いが分かれる造形である。

BYDアット3
BYDアット3

特にドアインナーが特徴的で、丸いスピーカーと一体になったドアハンドルを持ち、下部のマップポケットはギターの弦のような構造になっている。

デザインは凝っているが、走らせることは直感的にできる。さて初BYD、初中国車はどんな感じか? 予想していた通り? いや想像以上にフツーだった。

言い方を変えれば良くできている。BEVなので走行音が静かなことはもちろんだが、駆動系以外も静寂を保っているし、乗り心地もこのクラスとしてはしっとりとして良い方だ。そしてこの日同時に試乗できたBYDのニューモデル、ドルフィンと比べた印象として、かなり骨太な、タフな質感をもったクルマだと感じられた。

ちなみに駆動方式はフロントに204psのモーターを置くFFだが、BEVによくある急加速をひけらかす感じもなく、実用車として必要にして充分な動力性能だと感じた。

「いきなりこの仕上がり?」と最初は驚かされた。だが今は前例の宝庫であり、いきなりでもこれくらい仕上がっていないと勝負にならないという思いもある。本国でのデビューから約2年が経過していることによるブラッシュアップも当然含まれているはずだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。BMW 318iコンパクト(E46)/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 撮影

    小川和美

    Kazuyoshi Ogawa

    1986年生まれ。クルマ好きの父親のDNAをしっかり受け継ぎ、トミカ/ミニ四駆/プラモデルと男の子の好きなモノにどっぷり浸かった幼少期を過ごす。成人後、往年の自動車写真家の作品に感銘を受け、フォトグラファーのキャリアをスタート。個人のSNSで発信していたアートワークがAUTOCAR編集部との出会いとなり、その2日後には自動車メディア初仕事となった。
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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