BYDシール 詳細データテスト 低速の快適性は要改善 高速域の長距離移動は快適 ハンドリング良好

公開 : 2024.02.03 20:25  更新 : 2024.02.12 17:55

購入と維持 ★★★★★★★☆☆☆

シングルモーターのシール・デザイン、お値段4万5695ポンド(約859万円)から。有償色のシャドーグリーンとインディゴグレーは876ポンド(約16万円)で、そのほかは標準色。それ以外にオプションなし。なお、デュアルモーターのシール・エクセレンスは48695ポンド(約915万円)と、3000ポンド(約56万円)高いのみだ。

BYDはなにも、自社を安売りブランドと規定しているわけではない。同じような装備内容ならポールスター2スタンダードレンジやヒョンデ・アイオニック6より安価だが、その差はわずかだ。安さにかけては、テスラモデル3が大きく抜きん出ている。

まだ認知度の低いブランドゆえに、残価予想は低くなってしまう。テスラのようになるには、実績を重ね信頼を得る時間が必要だ。
まだ認知度の低いブランドゆえに、残価予想は低くなってしまう。テスラのようになるには、実績を重ね信頼を得る時間が必要だ。

BYDの強みは、ほとんどのライバルよりkんだいな保証だ。最大6年もしくは15万kmで、駆動系とバッテリーは+2年となり合計20万kmまでカバーする。

気になるのは経済性や急速充電性能だ。電費表示は、通算値と残り80kmを示すもののみしかも、この80kmが正確ではない。。リセットしてから計測してみると、80km到達前に電力が尽きるのだ。逆ならまだよかったのだが。

ディスプレイの表示要素が選べないのも、また問題。センター画面はkWh/100km、メーターはkWh/100マイル、と電費の単位が異なっていて、これは変更できない。細かいようだが、意外と不便だ。

電費そのものは、普通に使って5.5km/kWhで、このクラスではそこそこだが、テスラには負ける。計算上、航続距離は449kmとなるが、LFPバッテリー搭載車なので、フル充電しても性能持続性に悪影響はない。アダプティブモードでさえ、航続距離計は楽観的すぎる数字を示す。

急速充電性能はきわめて低いが、テスト日が非常に寒い冬だったことの影響は否定できない。数値で言えば、150kWという公称最高値がすでに、アイオニック6の233kWやモデル3の170kWを下回っている。

しかも、実際に操作すると135kW以上をみることができなかった。これは異なる2台の350kW充電器を使って得られた結果だ。どちらの場合も、50%チャージ付近で充電速度が劇的に落ちるのだが、プラグを抜いて再度チャージすると数値がまた跳ね上がる。

全体を通せば、メーターパネルもバッテリーがウォーミングアップ中だったことを教えるメッセージを表示していた。もっと簡単に使えるバッテリーコンディションの準備機能があれば、そのメリットは大きいはずだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Koichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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