マツダCX-5が売れ続ける理由 スポーティ新規グレードとディーゼル支持層 ロイヤリティも付随

公開 : 2024.02.06 17:45

ロイヤリティの高さ

初代CX-5が売れた理由の、もうひとつが価格設定だ。

ガソリン車の場合「アクセラ」との価格差がほとんどないといった戦略的な事業展開が奏功した。クリーンディーゼル車の値付けも、新技術/走り味/燃費を加味すれば、ユーザーにとってリーズナブルに感じたのだ。

マツダCX-5が売れ続ける理由
マツダCX-5が売れ続ける理由

そうした戦略的価格設定を決断した背景には、それまで「マツダ地獄」とも呼ばれた販売店での営業実態の抜本的な改革がある。

CX-5を皮切りに、マツダが第6世代と呼ぶ商品群では、新車でのディスカウントを最小限に抑えることでリセールバリューを上げ、さらに新車販売につなげる好循環を狙ったのだ。

商品イメージとしても「魂動デザイン」を前面に押し出し、外装色でもソウルレッドが街中でマツダ車の存在感を引き立てた。

こうした初代CX-5の成功によって、新規のマツダファンが増え、CX-5に対するロイヤリティ(忠誠心)が自然と高まっていったという経緯がある。

そのため、新車購入から3年、また5年といった段階でCX-5からCX-5への買い替え需要が生まれているのだ。特にクリーンディーゼルオーナーは「次のクリーンディーゼル」を選ぶ傾向が強い。

スポーティ志向がカギ

こうしてCX-5に対するユーザーからのロイヤリティが高まる中で、マツダはCX-5のグレードを拡充してきた。

2023年10月の一部商品改良では、プレミアム志向の「エグゼクティブ・モード」や、レジャー志向の「フィールドジャーニー」があるが、なかでもユーザーの注目が高いのが「ブラックトーンエディション」や「スポーツアピアランス」といったスポーツ志向だ。

マツダCX-5が売れ続ける理由
マツダCX-5が売れ続ける理由

この商品改良では、新たに「レトロスポーツエディション」を追加して、スポーツ志向グレードを充実させている。

日本では、上級感があり取り回しがしやすいベストフィットなSUVとして人気が根付いているCX-5。その上で「マツダ=スポーティ」というブランドイメージから、CX-5へのスポーツ志向がさらに強まっていると言える。

マツダ車全体の車体構造の構図としては、マツダ3起点のFFのスモール商品群とCX-60を皮切りとするFR車のラージ商品群があり、CX-5はこれらのどちらにも属さない第6世代の改良車である。

日本ではスポーティ志向として、またグローバルでは国や地域によって商品性の捉え方は若干違う中、CX-5は2030年に向けたマツダ電動車戦略においても当面の間、マツダの中核モデルとして生産が継続されることになりそうだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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