BMWのクーペSUVにEVも出た! 新型iX2 xドライブ30へ試乗 シングルモーターの方がベター?

公開 : 2024.03.12 19:05

車重を忘れるパワフルさ 操舵は僅かにダル

ツインモーターのiX2は、2020kgの車重を感じさせないほどパワフル。アクセルペダルの操作に対し即座にトルクが立ち上がり、爽快な加速が始まる。0-100km/h加速は5.6秒で、最高速度は180km/hでリミッターがかかる。

ドライブモードは3種類。パワートレインとステアリング、サスペンション、スタビリティ・コントロールが連動して変化する。

BMW iX2 xドライブ30(欧州仕様)
BMW iX2 xドライブ30(欧州仕様)

回生ブレーキは、ブレーキペダルを踏まずに停止できる、ワンペダル・モードを含めて3段階。強さは自動的に調整され、パドルで調整できるような仕掛けはない。前方の道路や交通状況を判断し、自動的に強さが変化する、アダプティブ・モードが備わる。

ステアリングホイールの裏にあるのが、ブーストパドル。1度引くと、10秒間、通常より鋭い加速を引き出せる。試すと案外楽しいが、多用すれば航続距離は短くなる。

軽くない駆動用バッテリーと、2シリーズ・グランクーペより高めの重心位置で、身のこなしはクーペ風のシルエットほど軽快ではない。乗り心地は全般的に良好。よほど酷い路面でない限り、落ち着きが保たれていた。

ステアリングは感触が薄く、反応の精度もBMWの期待値には届いていない。iX1と同じように、僅かなダルさがあり、運転を楽しみたいドライバーが魅力を感じることはないかもしれない。

ファミリー・クロスオーバーらしく、リラックスした気持ちで走らせるのが合っている。快適性は低くなく、長距離ドライブも安楽だろう。

シングルモーター版の方が訴求力は上?

サスペンションは、アダプティブダンパーが標準。減衰特性はドライブモードによって制御され、個別に変更はできない。

スポーツ・モードを選ぶと、ステアリングホイールの操舵感は重めに。そのかわり、乗り心地は明らかに硬くなる。試乗車が履いていた20インチ・ホイールも、足を引っ張っていたはず。

BMW iX2 xドライブ30(欧州仕様)
BMW iX2 xドライブ30(欧州仕様)

このクラスでは、充分に運転を楽しめるといえる新型iX2。プレミアム・ブランドらしい特別感があり、ファミリー・クロスオーバーへ適う快適性や実用性を得ている。スタイリングも重視する人には、訴求力の高い新モデルといえるだろう。

ただし、見た目ほどスポーティというわけではない。実際のところ、ドライビング体験はiX1に似ている。クーペ風のシルエットに、約7000ポンド(約132万円)の価値があると感じるかどうかは、人それぞれだ。

ツインモーターのiX2 xドライブ30は、必要以上にパワフルに感じられた。シングルモーターの方が、航続距離は僅かに長く、英国価格は5830ポンド(約110万円)もお手頃。今回は試乗できなかったが、iX2 eドライブ20の方が一層訴求力は高いかもしれない。

◯:不足ない加速性能を備えたパワートレイン 実用性を犠牲にしないスポーティな見た目 広々とし機能的なインテリア
△:際立つほど、運転が楽しいとはいえない 航続距離と急速充電能力は、もっと高めても良い

BMW iX2 xドライブ30(欧州仕様)のスペック

英国価格:5万7445ポンド(約1086万円)
全長:4554mm
全幅:1845mm
全高:1560mm
最高速度:180km/h
0-100km/h加速:5.6秒
航続距離:416-428km
電費:4.5-5.6km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:2020kg
パワートレイン:ツイン励起同期モーター
バッテリー:64.7kWh(実容量)
急速充電能力:130kW
最高出力:312ps
最大トルク:50.2kg-m
ギアボックス:1速リダクション(四輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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