今買えるクルマ、トップ50

公開 : 2014.12.02 23:55  更新 : 2017.06.01 02:11

  • 3位 ポルシェ911GT3

  • 2位 BMW i3

  • 1位 フォルクスワーゲン・ゴルフR

3位 – ポルシェ911 GT3

エレクトリック・ステアリングや、2ペダルであることを批判するのは簡単だ。もしそんな人があなたのまわりにいるのであれば ’これらの変化がもたらすメリットが本当に不必要なことなのだろうか’ と問うてみるのもいいかもしれない。

エキゾチックなクルマには、手取り足取りアシストしてくれる装置など必要ないと豪語するモーター・ジャーナリストもあるいはどこかにいるかもしれない。しかし、現代的な装置が加わったことによって、GT3のもたらす興奮が半減したと感じることは、少なくとも筆者は皆無だと思った。

そしてこのエンジン。気が狂ったとまでは言わないが、それに近いドイツ流の飛ばし方を試してみると、何の淀みも迷いもなくレヴ・リミットの9000rpmまで瞬時に針が回ってゆく。4輪操舵システムや、短くなったホイールベースのおかげで敏捷性もこのうえない。ダンピング・マナーやデュアル-クラッチ・オートマティック・ギアボックスの変速にも舌を巻く。もはやこれだけの完成度に、この価格は安すぎると思ったほどだ。

たしかに現実的には決して安いクルマではない。それに他のライバルと比べると、フェラーリ458スペチアーレの方が壮観な出で立ちだし、身のこなしも見事なのは事実だ。もちろんスペチアーレの方が速いし、明快だ。

ただしこのページでは、アシストの手厚さで優劣うをきめているわけではない。シンプルに ’自分の力’ で走らせられるのは911 GT3の方だ。

458スペチアーレを買える金額で、1台のGT3と、予備のGT3をもう1台買うことができるというのも大きい。現時点において、911GT3は、ポルシェ最大の功績だといっても言いすぎではないし、歴史上のロードカーのなかでももっとも素晴らしいクルマであると断言する。

2位 – BMW i3

AUTOCARの読者諸兄ならば、あなたのクルマのことをあなたの家と同じくらいよくご存知のことだろう。あるいは家以上かもしれない。双方の基本骨格は、目に見えないところから、目に見える部分をしっかりと支えているという意味では共通だ。

ただその基本骨格。i3の場合は、あなたがすでにご存知のそれとはちょっと違う。にもかかわらず、i3の斬新な骨格は、1年以上オンオフ問わずに乗ってきた筆者にそれとなく ’他とは違うんですよ’ アピールをしてこないのだ。ただの1度も…である。

もちろん外観は、どこからどう見ても他のクルマとは異なっている。目新しさこそが、このクルマの真の実力に振り向いてもらうために必要不可欠だとBMWが判断したからだ。

しかし乗った印象は、とてもBMWっぽいのである。緊張感があり、正確で、レスポンスも良く、もちろんとても楽しいのだ。’電気自動車にしては…’ という前置きにを抜きにして、楽しいのだ。テスラモデルSよりも、正直にいって楽しい。

単に電気自動車だからといった理由だけで買うクルマではない。近未来的なルックスや、豪華で魅力的なインテリアにこそお金を払う価値があるのだ。もちろん楽しさのためでもある。そしてその次に、洗練性、超安価なランニング・コスト、莫大なトルクなどの理由がある。レンジ・エクステンダー版を買えば(というか、買うべき)、バッテリー切れを恐れながら運転する必要もない。

強いて問題点を挙げるとするならば、問題がなさすぎるというところだろうか。郊外から通勤するユーザーにとっても不足はない。おっと、あとは、ガソリン・タンクをもう少し大きくしてくれさえすれば、不安は皆無になるだろう。

1位 – フォルクスワーゲン・ゴルフR

優勝に輝いたのは、泣く子も黙るゴルフR。われわれは、完成度の高いクルマが好きだ。それと同じくらい速いクルマが好きだ。そしてゴルフRは、完成度が高く、速い。よって1位以外に似合う場所はない。

実際にこのクルマに比肩するクルマは皆無。ゴルフは大衆車である、ということを忘れさえすれば、現行のゴルフRが掲げるプライスタグは安い。”とは言っても、ゴルフでこの価格は……” という向きは、40年にわたってベスト・ホットハッチの称号をほしいままにしてきたGTIを購入するというのも、アリといえばアリだ。

ただしGTIの場合、先代のゴルフRのように、通常のゴルフを ’ちょっぴり速くしただけ’ という事実と、トップ50にランクインしていないという事実を受け入れなければならない。

これに対してゴルフRは、ルックス如何にかかわらず、もはやゴルフとはかけ離れた存在である。特に、レース・モードにスイッチして峠を攻めたときにこれを強く感じる。誇張表現などではなく、もはやゴルフとは一線を画するのだ。

筆者はこのクルマを運転するたびに、NASCARのレースカーを思い出す。出場するクルマの外装こそ、一般的なルックスのボディをかぶせているのだが、中身は完全なるモンスターカーである、あのクルマたちのことを。(もちろんゴルフRには、ホットハッチの定義通り、実用性はまったくスポイルされていないのだけれど……)

これほどにデキが良ければ、もっともっとハードなテストを行いたくなるのもジャーナリストの性分。ただどんなテストに対しても、ゴルフRは軽々と合格ラインを踏み越えていく。それも、悪名高き英国の道路環境において、である。これほどに完成度の高いクルマは他にない。

スロットル・レスポンス、4気筒エンジンとターボの相性、加速性能、グリップ、安定感などどれをとっても破綻する気配はないのだ。精緻な仕立てのステアリングをコーナーのエイペックスに向け、そっとガスペダルを戻せば、するりと後部も周り込んでくる。扱いやすさはもちろんのこと、自信をもって、次々と現れるコーナーに向かっていけるのだ。

あっという間にテストコースの終わりに近づく。もっとコースが長かったらいいのに……そう思わずにはいられなかった。コンフォート・モードにセットして、さっきまでの甘美な時間が嘘だったかのように、静かで快適な空間に身を浸しながらスタート地点にもどっていった。

もちろん鋭敏なクルマはほかにもある。ゴルフRに負けないくらい快適なクルマもほかにもある。ただこの両方を1台で成し遂げられるのは、このゴルフRだけだ。

3ドアのMTが、なかでも最良だと筆者は考えるのだけれど、この場合、£30,000(557万円)以下であなたのガレージにおさめることができる。

もしかすると、ただのゴルフにスポーティな印象をあたえる脚色が加えられただけだ、と思い込んでいる向きもあるかもしれない。しかし実際は、歴史に名を刻む実力をもつ、超現実的なパフォーマンスカーの象徴なのだ。

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