韓国勢が大健闘 合理的な「兄弟」モデル:ヒョンデ・コナ・エレクトリック キア・ニロ EV お手頃EV 12台比較(5)

公開 : 2024.04.18 19:05

一般的なユーザーが求めることを満たす

どちらも、英国価格は4万ポンド(約756万円)を大きく下回る。お借りしたコナ・エレクトリックは、トップグレードのアルティメットで、4万3040ポンド(約813万円)もするけれど。

この価格帯で実際にバッテリーEVを検討し始めれば、2台のコストパフォーマンスの良さが見えてくるはず。同等の値段で、同等の実用性や航続距離を叶えたモデルは多くない。恐らく、バッテリーEVへスムーズに移行できるだろう。

キア・ニロ EV 65kWh 2(英国仕様)
キア・ニロ EV 65kWh 2(英国仕様)

キャビンにはゆとりがあり、大人4名が問題なく長時間過ごせる。子どもなら、リアシートに3人を並ばせても不満は出ないはず。荷室容量も充分で、週末の食料品の買い出しにも問題なく対応できる。

内装の作りはソリッドで、簡単に壊れそうな部分はない。小物入れは各所に備わる。実際に押せるハードボタンも多く残され、タッチモニターを見つめながら、サブメニューを掘り下げる必要はない。取り立てて、引っかかるポイントはないといっていい。

心から運転を楽しめるわけではない。AUTOCARの読者が、強く興味を抱くことはないかもしれない。それでも、コナ・エレクトリックとニロ EVは、一般的なユーザーがバッテリーEVへ求めることを満たしている。2台とも安心して、しっかり使える。

全長約4.4m、全幅約1.8mというサイズを考えれば、電費も良い。同じ65kWhの容量の駆動用バッテリーから、450km以上の航続距離が主張されている。現実的には約400kmだが、冬場でも大きく短くなることはない。

4位:ニロ EV 2位:コナ・エレクトリック

ステアリングホイール裏のパドルを弾いて任意に調整できる、回生ブレーキも強み。ルートを問わず、運動エネルギーを電気エネルギーとして効果的に回収できる。運転次第で、1kWh当たりで走れる距離を伸ばせる。

乗り心地も良い。車重が約1.7tと軽くはないこともあり、背が高めのクロスオーバー基準でいっても、操縦性で優れるわけではない。しかし何か不備があるわけでもない。運転席からの視界は良好で、駐車もしやすい。

ヒョンデ・コナ・エレクトリック 65kWhアルティメット(英国仕様)
ヒョンデ・コナ・エレクトリック 65kWhアルティメット(英国仕様)

それでは、なぜ一方が4位で、もう一方が2位なのか。スター・ウォーズに出てくるような、コナ・エレクトリックのフロントマスクを好む人がいたことも、多少は影響しているかもしれない。

実際のところ、ニロ EVの運転体験を支持する人もいた。ドライバー監視機能の有無も、印象の違いを生んでいたと思う。コナ・エレクトリックへ実装される、運転支援システムへイラつかされる場面があったことは事実だ。残価設定型プランの特徴も異なる。

一長一短はあるが、最終的に審査員の評価が高かったのは、コナ・エレクトリック。2024年の英国では、4万ポンド(約756万円)の予算で選べる、2番目に賢明なバッテリーEVだといえるだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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