フェラーリSF90 XX スパイダーへ試乗 胸が打たれるほど「公道」で素敵 HVの総合1030馬力!

公開 : 2024.05.21 19:05

超速なフェラーリのプラグインHVスーパーカー、SF90にXXのスパイダー登場 システム総合1030ps F50以来のリアウイング 乗り心地はしなやか 英編集部がイタリアの一般道で評価

一般道も走れる初めての「XX」 総合1030ps

フェラーリによると、当初はSF90のラインナップとして、XXが追加される予定はなかったという。しかし、約1000馬力のプラグイン・ハイブリッド・スーパーカーは、より手頃な価格で、動力性能が劣るモデルほどの脚光は集めなかった。

V6ツインターボエンジンを積んだ296 GTBも、プラグイン・ハイブリッド。車内空間にはゆとりがあり、運転体験も素晴らしい。

フェラーリSF90 XX スパイダー(欧州仕様)
フェラーリSF90 XX スパイダー(欧州仕様)

結果として誕生したSF90 XXは、そんな現実へのソリューションのように思える。世界最高峰のスポーツカー・メーカーとしては珍しいが、フラッグシップのフォローアップが必要になったのだろう。どうすれば、形勢を立て直せるのか、と。

その答えは、さらに魅力を追求することだった。従来まではサーキット限定で、購入できるドライバーも制限された、特別なプログラムの名前を借りて。

SF90 XXは、一般道も走れる初めての「XX」だ。過去の例より、遥かに多くの数が生産されることになる。クーペは799台、コンバーチブルのスパイダーは、599台が計画されている。

シャシー中央へ搭載されるのは、4.0L V8ツインターボエンジン。通常のSF90から17ps増しの798psを発揮し、8速デュアルクラッチATを介して後輪を駆動する。

改良を受けた駆動用モーターは、フロントタイヤの左右へ1基づつと、エンジンとトランスミッションの間に1基の、合計3基。システム総合での最高出力は、1030psへ上昇した。ちなみにこれは、ユニット毎の単純な合計値ではない。

F50以来のリアウイング 乗り心地はしなやか

ボンネット内に確保されていた手荷物用のスペースは、エアダクトと交換。フェラーリの公道用モデルではF50以来となる、大きなリアウイングがテールに固定され、249km/hでの走行時に530kgのダウンフォースを生成するそうだ。

インテリアでは、装飾的な部分を削除。カーボンファイバー製パネルが増えている。

フェラーリSF90 XX スパイダー(欧州仕様)
フェラーリSF90 XX スパイダー(欧州仕様)

今回筆者がステアリングホイールを握ったのは、スパイダー。イタリアの道で、仕上がりを確かめてみよう。

マルチマティック社製の高性能なダンパーが標準だが、試乗車にはサーキット向きのアダプティブダンパーが組まれていた。能力の幅が広く、フェラーリのテストコース、フィオラノでのタイムアタック時にも、このオプション・アイテムが組まれていた。

一方でタイヤは、公道向きのブリヂストン・ポテンザ。サイズはフロントが255/35 R20で、リアが315/30 R20だ。

クーペのXXと異なり、段差を超える場面などでフロントのクリアランスを増やせる、ノーズリフト機能がスパイダーには用意される。モデナ近郊での試乗時も、速度抑止用のスピードバンプなどで活躍してくれた。

イタリアのアスファルトは、英国と同じくらい平滑ではない。意外にもフェラーリの乗り心地がしなやかな理由は、この環境にあるのだろう。肉薄なタイヤでも、ボディロールは抑えられつつ、舗装のツギハギやワダチに悩まされることはない。

高速道路の巡航では、車内は比較的静か。ちょっと前の例だが、フェラーリ458 スペチアーレの方がにぎやかだった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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