「正常進化」で富裕層をさらに誘惑 メルセデス・ベンツGクラスへ試乗 3L直6ディーゼルがベストフィット

公開 : 2024.05.27 19:05

SUV王者の一角、Gクラスがリフレッシュ 伝統を感じる無骨な見た目は変わらず スイートスポットは3L直6ディーゼル 感心するほどのグリップ力と文化的な乗り心地 英編集部が評価

富裕層のファッションアイテム?

Gクラスの歴史は古い。ゲレンデヴァーゲンと呼ばれていたことを、ご存知の読者もいらっしゃるだろう。

メルセデス・ベンツと、その子会社のシュタイアー・ダイムラー・プフが開発した、オリジナルの発売は1979年。フロントグリルにスリーポインテッドスターを備えた、最高出力156psのオフローダーだった。

メルセデス・ベンツGクラス(欧州仕様)
メルセデス・ベンツGクラス(欧州仕様)

それ以来、富裕層のファッションアイテムの1つのような存在へ変化し、高性能なメルセデスAMG G 63も登場。先日ご紹介した、G 580 EQテクノロジーと呼ばれる、バッテリーEVも誕生した。しかし、基本設計は長年に渡って踏襲されている。

そんなGクラスは、2024年にアップデートされた。内燃エンジンでは、3.0L直列6気筒ディーゼルターボがエントリーユニット。新しく、電圧48Vのスターター・ジェネレーター(ISG)によるマイルド・ハイブリッドになった。

同時に、僅かにパワーアップ。これまでG 400dを名乗っていたが、50増えてG 450dへ改められている。

英国へ導入されているガソリンエンジンは、G 500の3.0L直列6気筒ターボのみ。強力なV8エンジンを希望するなら、メルセデスAMGへステップアップするしかない。

価格の幅は大きく、上位グレードではランドローバーレンジローバーベントレーベンテイガに並ぶ。それでいて、オフロード性能はディフェンダージープラングラーにも劣らない。

見た目は伝統を感じる無骨なGクラス

改良を受けたといっても、見た目は従来どおり、伝統を感じさせる無骨なGクラス。ラダーフレームにボディが載った構造も変わりない。フロントサスペンションは、最新世代ではダブルウィッシュボーン式になっているが。

ドアヒンジはボディパネルの外へ露出し、ドアハンドルは巨大。フェンダー上に突き出たウインカーや、テールゲートに固定されたスペアタイヤなど、すべてが本物で機能的だ。2024年仕様では、フロントバンパーとラジエターグリルが新しくなった。

メルセデス・ベンツGクラス(欧州仕様)
メルセデス・ベンツGクラス(欧州仕様)

フロントピラーは僅かにカーブが強められ、フロントガラス周辺の処理にも手が加えられた。これは、空気抵抗と風切り音を低減するために施されたもの。バッテリーEVのG 580の開発から、生まれたものだという。

最低地上高に余裕があるGクラスは、キャビンの位置も高い。サイドステップも兼ねたロックレールへ足をかけ、登るように乗り込む。

車内空間は、想像より頭上空間にゆとりがある。しかし、前後方向はこのクラスとしては狭め。レンジローバーの広さがよくわかる。

ダッシュボードの上部には、12.3インチのモニターが2面並ぶ。片側はメーター用で、もう一方はインフォテイメント用だ。エアコンには、実際に押せるハードボタンが残されている。

ダッシュボード中央には、オフロード走行時に活躍するコントロールセンター。主要な機能へのアクセス性が改善された。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マレー・スカリオン

    Murray Scullion

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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