ボルボが次世代「シートベルト」発表 体型に合わせて拘束力を調整、来年市販車へ導入

公開 : 2025.06.06 18:45

ボルボは新しいシートベルト『マルチアダプティブ・シートベルト』を発表しました。センサーで乗員の体型や体重などを認識し、衝突時の保護設定を調整するとのこと。2026年発売予定の新型EX60に搭載されます。

無線アップデートで性能向上も

ボルボは、車内の安全性を向上させる新しいタイプのシートベルトを発表した。

3点式シートベルトのパイオニアとして知られる同社が今回開発したのは、センサーによって乗員の身長、体重、体型、着座位置などを分析し、衝突時にそれらに応じて保護設定を調整する『マルチアダプティブ・シートベルト』だ。

マルチアダプティブ・シートベルト
マルチアダプティブ・シートベルト    ボルボ

ボルボによると、体格の大きい乗員にはベルトの張力を強くして頭部の負傷リスクを軽減し、体格の小さい乗員にはベルトの張力を弱めて胸部への衝撃を軽減するという。

このシステムはZFライフテック社と共同開発したもので、衝撃の性質に応じて設定を変え、「瞬時」に車両周辺のデータを収集して、シートベルトの締め付ける力を決定する。

現在のシートベルトは、締め付け力を調整する「ロードリミッター(荷重制限装置)」を採用しており、3段階のプロファイル(設定)が用意されている。ボルボのマルチアダプティブ・シートベルトはこれを11段階に増やした。

ボルボは、この新しいシートベルトを来年発売予定の新型EX60に導入し、「無線(OTA)ソフトウェア更新により、時間が経つにつれて性能が向上する」としている。

ボルボが衝突安全に関するデータをさらに収集していくことで、「クルマは乗員、新しいシナリオ、対応方法についての理解を深めることができる」とのことだ。

ボルボ・カーズのセーフティセンターを運営するオーサ・ハグルンド氏は、次のように述べている。

「世界初のマルチアダプティブ・シートベルトは、自動車の安全性の新たなマイルストーンであり、リアルタイムのデータを活用して何百万人もの人命を救うという当社の目標を示す素晴らしい事例です」

「これは、1959年にボルボが発明し、100万人以上の命を救ったと推定される現代の3点式シートベルトの大きな進化です」

この新しいシートベルトの発表は、ボルボの「ほぼあらゆる交通事故を再現し、実際の安全基準を超える試験を実施できる」セーフティセンターの設立25周年に合わせて行われた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    役職:副編集長
    AUTOCARの若手の副編集長で、大学卒業後、2018年にAUTOCARの一員となる。ウェブサイトの見出し作成や自動車メーカー経営陣へのインタビュー、新型車の試乗などと同様に、印刷所への入稿に頭を悩ませている。これまで運転した中で最高のクルマは、良心的な価格設定のダチア・ジョガー。ただ、今後の人生で1台しか乗れないとしたら、BMW M3ツーリングを選ぶ。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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