【EVオフローダー市場が熱い】メルセデス・ベンツGクラスの弟分『リトルG』 2027年登場へ

公開 : 2025.04.18 06:45

メルセデス・ベンツはGクラスの小型版となる新型SUVを2027年に発表します。伝統のデザインはそのままに、ラダーフレームを廃したEVとなる見込みで、正式名称は未定ながらも『リトルG』の愛称で呼ばれています。

小粋な弟分、『リトルG』

メルセデス・ベンツは、Gクラスの弟分にあたる新型SUV、通称『リトルG』を開発中だ。ランドローバーから登場予定のディフェンダー・スポーツのような比較的小型なエントリーレベルのSUVへの対抗馬となる。

2027年にEVのみのモデル展開で発売される予定で、現在はリトルGと呼ばれている。人気のあるクロスオーバー市場への足掛かりとする狙いだ。

Gクラスの伝統を受け継ぐ小型モデルが2年以内登場する見込みだ。
Gクラスの伝統を受け継ぐ小型モデルが2年以内登場する見込みだ。

メルセデス・ベンツCEOのオラ・ケレニウス氏は、2023年のミュンヘン・モーターショーでリトルGの計画を明らかにした。マイバッハ、EQ、AMGと並んで2020年に設立されたサブブランド『G』(ゲレンデヴァーゲン、ドイツ語でオフロード車の意)の新モデルとして、既存のGクラスの下に位置するよう構想されている。

ラダーフレームのシャシーを採用するGクラスとは異なり、よりオーソドックスな新しい『MB:EAプラットフォーム』を採用する。このプラットフォームは、CクラスGLCのEVバージョンにも用いられ、ユニボディ構造、電圧800Vの電気アーキテクチャー、そして700km超の航続距離を目指した第5世代の新型バッテリーを搭載する。

メルセデス・ベンツのデザイン責任者であるゴーデン・ワグネル氏は以前、AUTOCARの取材に対し、リトルGは既存のGクラスの「象徴的なDNA」を強く意識したデザインになり、「独自のキャラクターを持つが、”G” である」と語っていた。また、小文字の『g』を車名に冠することで、兄貴分との差別化を図るという。

エントリーでも立ち位置はGクラス

リトルGの価格はおよそ7万ポンド(約1300万円)からになると予想されている。参考までに、現行のEVモデルであるG580 EQの英国価格は18万860ポンド(約3400万円)、最も手頃なディーゼル搭載車のG450dは13万5535ポンド(約2550万円)である。

つまり、まもなく登場予定のランドローバー・ディフェンダー・スポーツ(ディフェンダーの小型版)やトヨタ・コンパクト・クルーザー(ランドクルーザーの新しいエントリーモデル)といったライバルよりも、やや高級なモデルとして位置づけられる。

現行Gクラス唯一のEVモデル『G580 EQ』
現行Gクラス唯一のEVモデル『G580 EQ』

関係者によると、リトルGの重要な魅力の1つは、伝統的な実用主義的デザインだという。フラットで垂直に近いサーフェスを持つ直線基調のスタイルが特徴で、ミリタリーグレードのような独特の外観になる。また、すべてのウインドウは平面で構成される。

初期のデザイン案では、U字型グラフィックのヘッドライトが採用されていたが、最近のバージョンでは通常のGクラスと同様の丸型ヘッドライトに進化したと言われている。

さらに、フロント先端の上部に取り付けられた長方形のウインカー、フレア形状の角張ったホイールハウス、テールゲートに取り付けられたスペアホイールなど、Gクラスの特徴的なデザインディテールが盛り込まれている。

直立したデザインと高い地上高にもかかわらず、G580 EQをはるかに下回る空気抵抗を達成したと言われている。

室内は5人乗りで、他のGクラスとは異なるデザインが採用される。ダッシュボードは浅めにデザインされ、センターコンソールは第3世代の新型CLAに似ているという。

リトルGのパワートレインは、メルセデス・ベンツの新しい電気モーター『eATS 2.0』だ。既存の電動メルセデスモデルに採用されているシーメンス・ヴァレオ製モーターとは異なり、2速トランスミッションなどを採用することで、効率性と洗練性を高めている。技術的に類似しているGLCでは、リアモーターが最大360ps、フロントモーターがさらに150psを発揮して合計出力488psに達するとのことだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    小河昭太

    Shota Ogo

    2002年横浜生まれ。都内の文系大学に通う現役大学生。幼いころから筋金入りのクルマ好きで、初の愛車は自らレストアしたアウトビアンキA112アバルトとアルファロメオ2000GTV。廃部になった自動車部を復活させようと絶賛奮闘中。自動車ライターを志していたところAUTOCAR編集部との出会いがあり、現在に至る。instagram:@h_r_boy_
  • 編集

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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