ホンダ 欧州で『シビック・タイプR』販売終了へ ストライプが映える特別仕様車を設定

公開 : 2025.06.06 06:45

排出ガスや安全性に関する規制が厳しさを増す中、ホンダは欧州向けの『シビック・タイプR』の販売を2026年に終了します。これまでの歴史を祝う最終モデル『アルティメット・エディション』が設定されました。

厳しさを増す欧州の「規制」

ホンダは、2026年に欧州市場向けの『シビック・タイプR』の販売を終了する。その28年間にわたる歴史を締めくくる特別仕様車として、新たに『アルティメット・エディション(Ultimate Edition)』を設定した。

欧州向けのラインナップからタイプRを外す理由について、ホンダは「業界の変化に伴い、当社のモデルラインナップも欧州の規制に合わせて進化しなければならない」と述べている。

ホンダ・シビック・タイプRアルティメット・エディション
ホンダ・シビック・タイプRアルティメット・エディション    ホンダ

ホンダの言う「規制」とは何か、具体的には示されなかったが、ドライバーの注意力を監視する装置や速度制限警告ブザーなどの装備を義務付けるEUの「一般安全規則2(GSR2)」のプレッシャーを受けた可能性が高い。

GSR2には、年間販売台数が1500台未満であれば、非適合車も2026年7月まで販売を継続できるという規定がある。これは、シビック・タイプRの欧州での販売終了時期と一致している。

同じ規制が理由で、トヨタGR86やアルピーヌA110も販売終了が決まった。

また、欧州ではCO2排出規制が厳しさを増している。標準モデルのシビックのCO2排出量が114g/kmであるのに対し、シビック・タイプRは189g/kmと特に多く、ラインナップの中でも大きな負担になっていたと思われる。

限定40台の最終モデル

今回設定されたアルティメット・エディションは、28年前に初登場したシビック・タイプRの欧州での歴史を祝うモデルだ。

シグネチャーカラーであるチャンピオンシップホワイトのボディに、伝統的な内装色を連想させるレッドのレーシングストライプが施される。

ホンダ・シビック・タイプRアルティメット・エディション
ホンダ・シビック・タイプRアルティメット・エディション    ホンダ

インテリアには、ドアのスキッドプレートやセンターコンソール周辺など、カーボンファイバーのディテールがふんだんに採用されている。

価格はまだ発表されていないが、従来のシビック・タイプRの4万8900ポンド(約950万円)よりも大幅に高くなる見込みだ。

生産台数は40台のみで、そのうち10台は英国向けに販売される。ホンダによると、販売は先着順となるそうだ。

英国および欧州では最近、ホットハッチの生産終了が相次いでいる。先日もフォード・フォーカスSTの販売中止(11月に生産終了)が報じられ、昨年にはヒョンデi30 Nが廃止となっている。

ガソリンエンジンを搭載する前輪駆動のホットハッチは、定番のフォルクスワーゲン・ゴルフGTI、小型のフォルクスワーゲン・ポロGTI、ミニ・クーパーS、そしてミニ・ジョンクーパーワークスなど、その数は決して多くない。

四輪駆動のハッチバックは、フォルクスワーゲン・ゴルフR、トヨタGRヤリス、メルセデスAMG A 45 Sといったモデルが比較的堅調だが、排出ガス規制やEVへの移行により、その先行きは不透明だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・マーティン

    Charlie Martin

    役職:編集アシスタント
    2022年よりAUTOCARに加わり、ニュースデスクの一員として、新車発表や業界イベントの報道において重要な役割を担っている。印刷版やオンライン版の記事を執筆し、暇さえあればフィアット・パンダ100HP の故障について愚痴をこぼしている。産業界や社会問題に関するテーマを得意とする。これまで運転した中で最高のクルマはアルピーヌ A110 GTだが、自分には手が出せない価格であることが唯一の不満。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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