日産の次世代EV用モーターを生産 ジヤトコが英国に新工場建設 2026年完成予定
公開 : 2025.01.17 06:25
ジヤトコはイングランド北東部サンダーランドに工場を新設し、次期型の日産リーフなどEV用の電気モーターを生産する。英国政府の支援も受け、183人の雇用を創出する。
次期型リーフなどに電動パワートレインを供給
日産の次世代EV向けの電動パワートレインを生産する新工場が英国に新設される。2026年までに年間34万台分のラインを完成させ、リーフ、ジューク、キャシュカイの後継車に搭載する予定だ。
日産工場のあるイングランド北東部サンダーランドに建設され、日産グループの部品メーカーで、ルノーを含む複数の自動車メーカー向けにトランスミッションを生産しているジヤトコ(JATCO)が運営する。

183人を雇用し、さらにサプライチェーン全体で400人の雇用が創出される見込みである。
日産とジヤトコは英国政府との投資契約を結び、このプロジェクトで5000万ポンド(約95億円)の支援を受ける。
ジョナサン・レイノルズ英国ビジネス貿易大臣は、この投資を「世界的に競争力のあるEVサプライチェーンを構築する」という取り組みの一環と位置づけ、「自動車産業を後押しするだけでなく、北東部全域で数百の雇用確保にもつながるだろう」と述べた。
ジヤトコにとって欧州初の工場となり、レイノルズ氏は「英国経済と、英国を投資先として選んでもらうための政府計画に対する大きな信任の証」であり、英国にとって大きな成果であると評価した。
日産はパートナー企業と協力し、「EV36Zero」プロジェクトの一環として、サンダーランド工場のアップグレードにすでに20億ポンド(約3800億円)の投資を始めている。これは次世代EVの生産に対応するためのものだ。
次期型リーフ向けのバッテリーを供給するバッテリー工場と、同じく近隣にギガファクトリーの建設が計画されており、いずれも日産の中国パートナーであるエンビジョン社が運営する予定である。
日産の製造・サプライチェーン・購買担当上級副社長のアラン・ジョンソン氏は、新パワートレイン工場への投資について、「当社の世界初のEV36Zero計画にとって素晴らしい前進だ。イングランド北東部の主要サプライヤーを迎えることで、当社のサプライチェーンの効率性は大幅に向上する。EVの未来に向けて邁進する中、今後も長きにわたってパートナーシップを継続できることを楽しみにしている」とした。
ジヤトコの佐藤朋由社長は、「ジヤトコ英国法人の設立にあたり、英国政府、サンダーランド市議会をはじめとする関係各位から多大な支援をいただき、心より感謝している。今後は、当社の電動パワートレインで日産のEV36Zeroプロジェクトを支援していきたい」と述べた。
日産のサンダーランド工場では、早ければ3月から次期リーフの生産が開始される可能性がある。リーフは現在のハッチバックからクロスオーバーへと姿を変える見込みで、プロトタイプによるテストが2024年半ばに開始されている。
また、工場内では、現行型リーフのバッテリー生産ラインが、2027年頃に導入予定のジュークEV用に改装されている。同じくEVとなる次期キャシュカイも、ほぼ同時期に登場する見込みだ。
日産はまた、現地で再生可能エネルギーを調達する取り組みも強化している。現在、週あたり約350MWhのエネルギー使用量の20%を、工場敷地内の風力および太陽光発電で賄っている。これを100%に引き上げる方針だが、その目標時期は定かではない。
また、大幅な増産に対応するため、サンダーランドでEV生産に携わる6000人のスタッフの訓練も重要課題である。予測によると、新型EVの生産が開始されれば、同工場の年間生産台数は30万台から倍増する可能性がある。
しかし、日産が11月に発表したコスト削減策では、世界全体で9000人の人員削減と生産台数20%削減(年間500万台にする)が計画されており、サンダーランドも多少影響を受ける可能性がある。日産の英国部門はAUTOCARの取材に対し、どこで人員削減を行うかは未定だと述べた。