力強いデザインの中型SUV、低価格を武器に登場 ダチア新型「ビッグスター」約480万円から欧州で

公開 : 2025.01.17 06:05

ルーマニアのダチアが新型SUV「ビッグスター」を欧州で発売した。2万4995ポンド(約480万円)という価格設定でライバル車を圧倒する。タフな外観と最新パワートレインを備えたCセグメントの主力モデルだ。

ライバルを圧倒する価格設定

ルーマニアの自動車メーカーで、ルノー・グループ傘下のダチアが欧州で新型SUV「ビッグスター(Bigster)」の販売を開始した。フォルクスワーゲン・ゴルフよりも低価格で現在予約受付中である。

英国価格は2万4995ポンド(約480万円)からとなっており、ゴルフよりも3000ポンド(約55万円)近く安い設定で、多くの競合他社の定価を大きく下回っている。

ダチア・ビッグスター
ダチア・ビッグスター    AUTOCAR

例えば、サイズの近い日産キャシュカイは3万135ポンド(約575万円)から、フォード・クーガは3万3395ポンド(約640万円)から、スコダ・コディアックは3万8720ポンド(約740万円)からとなっている。

ビッグスターの価格は、小型のヴォグゾール・フロンテラやMG ZS、オモダ5などに近い。

ビッグスターは欧州Cセグメントに属するミドルサイズSUVで、ダチアがこれまでに生産した中では最大だ。

最安価のエントリーグレードである「エクスプレッション」は、17インチアルミホイール、10.1インチタッチスクリーン、デュアルゾーンエアコン、マルチビューカメラ、フロントおよびリアパーキングセンサーを標準装備する。

中間グレード「ジャーニー」は、19インチホイール、電動テールゲート、専用の内装仕上げを追加し、2万6245ポンド(約500万円)から。

上位グレード「エクストリーム」は、パノラマサンルーフ、モジュール式ルーフバー、ウォッシャブル・マイクロファイバーの内装仕上げ、ラバーフロアマットを装備し、2万6494ポンド(約505万円)から。

ジャーニーとエクストリームの両グレードでは、その他の装備としてステアリングホイールヒーター、フロントシートヒーター、ワイヤレスの携帯電話充電器、アダプティブ・ハイビームヘッドライト、電動ドアミラー、プライバシーガラス、ルーフをブラックとする2トーンカラーなどがある。

パワートレインは3種類あり、ガソリンの「TCe 130」、マイルドハイブリッド付きガソリンの「TCe 140」および「ハイブリッド155」である。

最も高価な組み合わせとなるハイブリッド155エクストリームで2万9495ポンド(約560万円)と、全車3万ポンド未満に抑えられている。

人気の欧州C-SUVセグメントに斬り込む

価格公開前にAUTOCARの取材に応じたダチアのデニス・ルボットCEOは、ビッグスターで価格を重視する理由について次のように説明した。

「現在、欧州のCセグメントSUV市場では、平均価格が3万5000ユーロから3万6000ユーロ(約560~580万円)であるが、5年前には3万ユーロ(約480万円)を下回っていた」

ダチア・ビッグスター
ダチア・ビッグスター    AUTOCAR

「2025年以降、毎年250万人がC-SUVに買い替えようとするが、ニューモデルは3万5000ユーロ、3万6000ユーロ、3万7000ユーロで販売されることになる。5年前には2万9000ユーロ、あるいは2万8000ユーロで買っていたのだから、彼らはがっかりするだろう」

「そのため、このうちのほんの一部を取っても『ビンゴ!』だ。ビッグスターを検討する人は十分に多いと確信している」

ビッグスターの生産は、ルーマニアのミオヴェニにあるダチアの工場で行われる。従来のハッチバックのサンデロとMPVのジョガーの生産は、モロッコのルノー工場に移された。

ビッグスターのボディサイズは全長4570mm、全高1710mm、全幅1810mm。プジョー5008に近い寸法だが、7人乗りのオプションは用意されていない。

ルボットCEOは、3列目シートを追加すると「2列目のニールームが狭くなる」ほか、さらにリアアクスルの強化も必要となり、重量面で大きなペナルティが生じると述べた。「重量が増えると、エンジンをもっと電動化しなければならず、コストも高くなる」

欧州のCセグメントSUVの20~25%が7人乗りだが、この市場を狙えば「5人乗りの良さが損なわれる」ため、7人乗りのビッグスターの計画はないという。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 執筆

    サム・フィリップス

    Sam Phillips

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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