シトロエン・グランドC4ピカソ・セダクション ／ シトロエンC４ピカソ・エクスクルーシブ

昨年秋に日本市場に導入されたゴルフ・クラスのミニバンである。C4ピカソとしては7年ぶりの全面改良で、プラットフォームを一新した。EMP2と呼ばれるそれは、プジョー308と共用する。今回から、7人乗りLWBはグランドC4ピカソ、5人乗りのSWBはC4ピカソを名乗る。どちらもシトロエンらしいアバンギャルドなデザインを特徴としているけれど、カッコいいのは断然SWBである。共通のコクピットでの感涙は、GS やCXのボビン・メーターをデジタルで再現していることだ。ホイールベースはSWBで2780㎜もある。LWBだとさらに60㎜長い。6㎝長いだけで３列にしている、ともいえる。広々感があるのはよいけれど、ドライバーからフロント・ガラスまでの距離が遠すぎて、車両感覚がややつかみにくい。エンジンはBMWと共同開発した1.6ℓ直4ターボで、165psと24.5kg-mを発揮する。ギアボックスは308と同じアイシンAW製6速ATである。車重はSWBで1480㎏ある。まずはSWBで走り出す。カッコウほどにはシトロエンらしくなくて、あまり乗り心地がよろしくない。LWBのほうがこの点では優れている。現代のシトロエンは往時のシトロエンではない。ハイドロもついてないし……わかっちゃいるけど、幻想とともに生きるのもまたひとつの生き方である。デザイナーはがんばった。しかも、ミニバンなので使える。クルマ好きが支持しないでどうする！

シトロエン・グランドC4ピカソ・セダクション

価格	3,539,000円
燃費	14.6km/ℓ
CO2排出量	NA
乾燥重量	1550kg
エンジン	直列4気筒1598ccターボ
最高出力	165ps/6000rpm
最大トルク	24.5kg-m/1400-3500rpm
ギアボックス	6速AT

シトロエンC4ピカソ・エクスクルーシブ

価格	3,641,000円
燃費	15.1km/ℓ
CO2排出量	NA
乾燥重量	1550kg
エンジン	直列4気筒1598ccターボ
最高出力	165ps/6000rpm
最大トルク	24.5kg-m/1400-3500rpm
ギアボックス	6速AT

キャデラックCTSプレミアム

2013に登場した3代目CTSの全輪駆動版がプレミアムである。ホイールベースが先代より30㎜延び、ボディ全体も100㎜長く、25㎜低くなった。独自のスクウェアなデザインはカッコいい。前後ドアをアルミ化するなどで、100㎏以上の軽量化に成功したという。エンジンを直4に代えたのも大きいだろう。2ℓ直4ターボはV6と間違えるほど滑らかで、40.8kg-mという大トルクを生み出す。乗り心地は硬めで、ドライブ・フィールはほとんどヨーロッパ車。剛性感にあふれている。ダッシュボードの造形は、鉄腕アトムに出てくる青騎士を思わせる。ウィンカーを出さずに車線を越えると、シートが振動してヴヴヴと警告を与えてくれる。GMは人類に警告を与えるロボットをつくりたいのである。

キャデラックCTSプレミアム

価格	6,990,000円
燃費	11.0km/ℓ
CO2排出量	NA
乾燥重量	1770kg
エンジン	直列4気筒1998ccターボ
最高出力	276ps/5500rpm
最大トルク	40.8kg-m/3000-4500rpm
ギアボックス	6速AT

BMW218i アクティブ・ツアラー

昨年秋に日本でも発売となったBMW初のFWDにして、メルセデスのBクラスのミュンヘン版である。サイズもホイールベースもBと3cmと違わない。BMW版は背が高いFWDでありながら小気味のいいハンドリングを身上としている。1.5ℓ3気筒ターボは、絹のごとき直6の半分も官能性はないものの、駆動系自体はスムーズで、ミニで勉強してきたんだろうな、と思わせる。でも、ミニには “乗り心地” という科目がなかったに違いない。クルマ全体としては凡庸で、BMWであることの意味が見つけられない。後輪駆動のスポーツ・サルーン、と習って来ちゃったし……。でも、買う人にとってはBMW であることがウレシイわけで、そういう人には「ハンドリングがいい！」と言っておきましょう。

BMW218iアクティブ・ツアラー

価格	3,810,000円
燃費	19.6km/ℓ
CO2排出量	119g/km
乾燥重量	1460kg
エンジン	直列3気筒1498ccターボ
最高出力	136ps/4400rpm
最大トルク	22.4kg-m/1250-4300rpm
ギアボックス	6速AT

(文・今尾直樹　写真・前田恵介)