欧州 CO2規制を緩和、自動運転開発にテコ入れ 「今こそ行動起こすとき」

公開 : 2025.03.06 07:45

欧州委員会は欧州の自動車産業の競争力を高めるため、CO2排出量削減目標に “ゆとり” を設け、さらに自動運転車の開発でメーカー間の連携を促進しようとしている。

電動化への姿勢を軟化 横の連携促す

欧州の自動車産業の競争力を高める計画の一環として、欧州委員会はCO2排出量削減目標の期限を延長し、また自動運転車の開発で企業間の連携を強めるよう促す。

この公約を発表した欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は、「今こそ行動を起こす時であることは明らかだ。優先事項について多くの行動を起こす時が来た」と力を込めた。

欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長は「今こそ行動を起こすとき」と力を込める。
欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長は「今こそ行動を起こすとき」と力を込める。

最優先は、苦境に立たされているメーカーを支援しつつ、早期に電動化に投資したメーカーに悪影響を与えないよう、CO2削減目標をより柔軟かつ流動的にすることである。

自動車メーカーの平均CO2排出量を測定するこれらの目標は、今年から2035年にかけて毎年引き上げられていく。目標未達成の企業には罰金が科せられる。

フォン・デア・ライエン氏は、「ここで重要な原則はバランスである。一方では、先駆者、十分な準備をした企業に予測可能性と公平性が求められる。つまり、合意した目標を遵守しなければならない。他方では、この困難な時代に現実的な対応を行い、また技術的中立性を求める利害関係者の声にも耳を傾ける必要がある」としている。

そのため、CO2排出量に関しては1年ごとではなく、2025年から2027年までの3年間の平均で目標値を課す方針だ。しかし、最終的な目標自体に変更はない。

これについてフォン・デア・ライエン氏は、「合意された目標を変更することなく、業界に余裕をもたらすだろう」と述べた。

「このような目標修正は、欧州議会と欧州理事会によって迅速に合意されると確信している。迅速に合意されなければ意味がない」

また、欧州委員会は、米国や中国と並んで、EUを自動運転車開発競争における主要プレーヤーにしたいと考えている。そのために、欧州の自動車メーカーがリソースを共有し、ソフトウェアやコンピューターチップ、自動運転技術を共同開発できる「業界連合」の設立を約束した。

フォン・デア・ライエン氏は、「自動運転のソフトウェアとハードウェアには大きな後押しが必要だ」との見方を示し、欧州委員会は「テストと展開のルールを改善」し、「自動運転の大規模試験運用の立ち上げを支援する」と付け加えた。

「この問題の規模は、これまで以上に大きい。目標は非常にシンプルだ。欧州の道路に自動運転車を迅速に導入しなければならない」

欧州委員会は、EU産業のサプライチェーンをより強固で柔軟性のあるものにしようとしている。部品は地元で調達し、特にバッテリーに関しては海外への依存度を下げたい考えだ。

フォン・デア・ライエン氏は、「ここに課題がある。我々の生産が拡大している一方で、輸入バッテリーの方が安価だからだ。EVの価格をこれ以上高くすることはできないが、新たな依存関係を生み出すこともできない」と述べた。

そのため、欧州委員会は「EUのバッテリー生産者への直接支援」を模索する一方、遅れている原産地規則の下で、バッテリーセルとコンポーネントに対する「欧州コンテンツ要件」を徐々に導入していく。

フォン・デア・ライエン氏は次のように結んだ。

「自動車業界との対話は今日で終わりではないことを強調しておきたい。我々は引き続き関与し、委員たちとの作業を継続していく。まだ先がある」

記事に関わった人々

  • 執筆

    ウィル・リメル

    Will Rimell

    役職:ニュース編集者
    ニュース編集者としての主な業務は、AUTOCARのニュースの方向性を決定すること、業界トップへのインタビュー、新車発表会の取材、独占情報の発掘など。人と話したり質問したりするのが大好きで、それが大きなニュースにつながることも多い。これまで運転した中で最高のクルマは、アルピーヌA110。軽快な動きと4気筒とは思えないサウンドが素晴らしい。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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