ホンダ、決算発表でまさかのワールドプレミア! ハイブリッド強化で2台のコンセプト公開 『2040年新車EV/FCEV100%』目標撤回

公開 : 2026.05.15 07:45

ホンダは5月14日、2026年3月期の決算を報告。同時に『2026ビジネスアップデート』を公開しました。その報道陣に向けた説明会で、異例ともいえる2台のコンセプトを世界初公開しています。桃田健史のレポートです。

報道陣も驚く、新型車発表会の様相

まるで、新型車発表会の様相となり、集まった報道陣も驚いた。

本田技研工業(以下、ホンダ)は5月14日、2026年3月期の決算を報告。2027年3月期の見通しに続き、『2026ビジネスアップデート』を公開した。

世界初公開されたホンダ・ハイブリッドセダン・コンセプトとアキュラ・ハイブリッドSUVコンセプト。
世界初公開されたホンダ・ハイブリッドセダン・コンセプトとアキュラ・ハイブリッドSUVコンセプト。    平井大介

その中で、需要動向を見据えたパワートレーンポートフォリオ見直すと説明。これにあわせて、2台のコンセプトモデルがアンベールされたのだ。

名称は『ホンダ・ハイブリッドセダン・コンセプト』と『アキュラ・ハイブリッドSUVコンセプト』。前者はセダンと名乗っているものの、ファストバックなスタイリングが特徴。後者については、アメリカで言えばミッドサイズSUVに相当するサイズ感で、フロントマスクはいかにもアキュラらしいデザインだ。

両モデルとも車両スペックについて詳しいデータは公開されていないが、ホンダの主力市場である北米での稼ぎ頭になる可能性が高い。

それにしても、通期決算報告の場でこうした新型車がワールドプレミアされることは極めて珍しい。ホンダがなぜ、そこまでのプレゼンテーションを実行したのか。背景にあるのは、ホンダの中長期事業計画の大幅な見直し。

2010年代後半から2020年前半にかけて、アメリカ、欧州、中国でEV拡大のトレンドが明確化したが、2023年以降は特にアメリカでのEV需要が横ばいから下降に転じ、ホンダとしてEV戦略の見直しが必要となったのだ。

『2040年新車100%EVおよびFCEV』の目標は撤回、EVは『需要が来た時には確実に対応』

電動化を含めてホンダは中長期方針として『自由な移動の喜び』を改めて掲げ、2050年にカーボンニュートアルと交通事故死者ゼロをめざし、総合モビリティカンパニーとしての責務を果たすとしている。

その上で、柔軟性、選択の幅を持たせながらも、『需要が来た時には確実に対応できる着実な技術の仕込みを行う』という表現を用いた。

三部敏宏社長は質疑応答の中で、『2040年、グローバルで新車100%EVおよびFCEV』という目標を事実上撤回した。
三部敏宏社長は質疑応答の中で、『2040年、グローバルで新車100%EVおよびFCEV』という目標を事実上撤回した。    平井大介

具体的には、パワートレーンの選択肢としてはEVのみならずハイブリッド(HEV)を挙げた。さらに、カーボンニュートラル燃料を使う内燃機関(HEV含む)やカーボンオフセット技術などを取り入れた多角的アプローチでカーボンニュートラル実現を目指すとしている。

つまり、これまで掲げてきた『2040年、グローバルで新車100%EVおよびFCEV』という目標を事実上撤回したわけだ。質疑応答の中で三部敏宏社長がその事実を認めた。

背景には外部環境の変化があるが、ホンダの場合は特に北米市場への依存度が高く、オバマ、バイデン両政権での環境関連政策が第2次トランプ政権で180度転換してしまったことが、北米向けEV戦略の抜本的見直しに大きく影響した。

三部社長は『ゼロ・シリーズ』について2024年時点で量産化に向けたGOがかかっており、2025年時点では「引くに引けない状態」にあったと当時を振り返る。

北米市場の状況はさらに先行き不透明となったことから、ゼロ・シリーズの『サルーン』と『SUV』の開発停止を余儀なくされたのだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?
  • 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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