ジャガーは何をやろうとしているのか 1900万円の新型EV、狙いは? 独占インタビュー

公開 : 2025.03.06 06:45

ジャガーは今年末に新型EVを発表し、新世代のブランドラインナップの幕開けとする。今、ジャガーは何を目指し、どのようなクルマ作りを行っているのか、ブランド責任者のロードン・グローバー氏に話を聞いた。

従来とまったく異なる開発方法

ジャガーの新たな時代の先駆けとなる4ドアの電動GTは、年末に発表され、2026年半ばに生産が開始される予定である。

英国ゲイドンの本社でAUTOCARの独占取材に応じたジャガーのマネージング・ディレクター、ロードン・グローバー氏は、新型GTは発売に向けて、JLRの試験場や北極圏でのプロトタイプテストの「真っ最中」であると語った。

タイプ00コンセプト(画像)と量産GTの間には「強力な血統」があるという。
タイプ00コンセプト(画像)と量産GTの間には「強力な血統」があるという。    ジャガー

グローバー氏は、これまではジャガーの新ブランドとデザインに焦点が当てられてきたが、間もなく「まったく異なる段階」に入り、クルマのエンジニアリング、アーキテクチャー、ダイナミクスについてより多く語られるようになるだろうと述べた。

同氏は、新生ジャガーに対する一部の反対意見を覆すことができると期待している。新型GTの走りを通じて、歴代ジャガーのエッセンスを捉えようとしているからだ。

開発手法は「従来のやり方とはまったく正反対」であり、プラットフォームを中心に設計するのではなく、デザインとエンジニアリングを完全に一体化することで、これまでにない大胆な外観を実現しているという。

新型車は、昨年公開のタイプ00コンセプトで示された新生ジャガーのドラマチックなスタイリング、プロポーション、シャープな造形を考慮しながら、例えば、最大690kmの航続距離を実現するために必要な衝突試験や空力性能などについて、慎重に検討を重ねた。

「非常に優秀なエンジニアたちがその課題に挑んだ」とグローバー氏は言う。「彼らの仕事は、デザインの整合性を維持しながら、クルマに求められるあらゆる規定(ホモロゲーションや安全性など)を満たすこと、そして、ジャガーとしてあるべき姿を実現することだ」

走行性能については、シャシー開発チームが「何日もかけて車両を走らせ」、「その中からユニークで本質的なジャガーらしさとは何か、そしてそこから何を学べるか」を検討したという。

目標はスポーツカーを作ることではなく、「長時間、自信を持って運転でき、なおかつ気分良く走れる」クルマを作ることだ。

グローバー氏は、最高出力1000psの新型GTをゲイドンで最高速度250km/hで走らせたとき、ブランド責任者としての過去2年間の在任期間で「これまでにないほど楽しかった」と話す。

「そのスピード、加速、パフォーマンスは驚異的だったが、それだけでなく、個性あふれるパワーの伝達方法にも感銘を受けた。シャシーチームは、このクルマが秘める可能性に大きな期待を寄せている」

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・マーティン

    Charlie Martin

    役職:編集アシスタント
    2022年よりAUTOCARに加わり、ニュースデスクの一員として、新車発表や業界イベントの報道において重要な役割を担っている。印刷版やオンライン版の記事を執筆し、暇さえあればフィアット・パンダ100HP の故障について愚痴をこぼしている。産業界や社会問題に関するテーマを得意とする。これまで運転した中で最高のクルマはアルピーヌ A110 GTだが、自分には手が出せない価格であることが唯一の不満。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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