規模がケタ違いの北京モーターショーで学んだこと(前編) 17の展示ホール、252台の新型車 野心あふれる中国車の動向【UK編集部コラム】

公開 : 2026.05.15 17:05

中国随一の規模を誇る自動車ショー、北京モーターショー(オート・チャイナ2026)の現地レポートをお届けします。中国の最新トレンド、欧米メーカーの対応と提携関係の変化など、非常に学びの多いショーでした。

1日では回りきれないスケール感

北京モーターショー(オート・チャイナ2026)の規模はまさに圧巻だ。その基本データを見るだけでも驚かされる。展示会場は全長1.2kmに及ぶ17のホールにまたがり、そこに1500台近い車両が展示されていたのである。

2日間のプレスデーでは、181台の新モデルと71台のコンセプトカーが発表された。少なくとも主催者側はそう主張している。残念ながら、筆者がどんなに熱心に働いたとしても、すべてをチェックすることは到底不可能だっただろう。

『マイリトルポニー』とコラボしたBYD『元プラス(アット3)』
『マイリトルポニー』とコラボしたBYD『元プラス(アット3)』    AUTOCAR

こうした数字だけではこのショーの規模は十分に伝わらない。2年前に北京で開催された前回のオート・チャイナ(上海と毎年交互に開催される)以来、中国国際展覧センターの隣に、まったく新しい、より大規模なコンベンションセンターがオープンしたのだ。まるで映画『フィールド・オブ・ドリームス』の劇中でトウモロコシ畑が野球場になったように、ショーは両会場を埋め尽くすほどに拡大したのである。

中国の野心を示したのは、新しい展示センターの壮大な建築様式と規模だけではない。ホール内での国内メーカーによる展示や新車発表もまた、野心あふれるものであった。中国企業は、もはや欧米の自動車大手企業を模倣しようとはしていない。彼らの自信は、積極的なグローバル展開や技術開発に表れている。

これは理にかなっていると言える。中国政府が近年、自動車産業の発展を推進してきた理由の1つは、自動車産業が経済の他のあらゆる分野を活性化させる力を持つからだ。

存在感を示したBYD

EVにはバッテリー、モーター、半導体、コンピューター、AIシステムなどが必要だが、他産業から自動車分野へ進出してきた多くの中国メーカーは、その大部分を自社で生産している。例えばリープモーターは、自社のモデルに使用される部品の65%を自社生産しているという。このような垂直統合は、「チャイナスピード」とも言われる2年未満のモデル開発期間を実現するための重要な要素であり、急速な成長の理由の1つでもある。

全盛期のフランクフルト・モーターショーは、その規模感の大きさで知られていたが、北京モーターショーと比較すれば霞んでしまう。フランクフルトの規模が、大きく豪華な展示ブースで互いを凌駕しようとするドイツの大手企業によって牽引されたのと同様に、北京の成長もまた、しのぎを削り合う中国の大手企業によって牽引されている。

BYDの高級ブランド、デンツァが発表したスポーツカー『Z』
BYDの高級ブランド、デンツァが発表したスポーツカー『Z』    AUTOCAR

BYDは、傘下のさまざまなサブブランドと共に、1つの展示ホールを単独で埋め尽くしていた。そうでなければ、BYD『オーシャンV』コンセプト、デンツァ(騰勢)の『Z』、カーボンファイバー製ボディを持つファンチェンバオ(方程豹)の『フォーミュラX』、そして米国の玩具『マイリトルポニー』とのコラボレーションによってピンクの毛皮に覆われたBYD『元プラス(日本名:アット3)』を展示するスペースを、どうやって確保できたというのだろう?

BYDは他にも、高級ブランドのヤンワン(仰望)やライドシェアリング企業のリンフイ(領匯)など、サブブランドを急速に拡大している。これは、ここ数年の中国自動車業界における大きなトレンドの1つを象徴していると言える。市場が成長と発展を続けるにつれ、新たなセグメントが生まれ、それに対応するために大手企業もブランドラインナップの拡大に乗り出しているのだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    役職:雑誌副編集長
    英国で毎週発行される印刷版の副編集長。自動車業界およびモータースポーツのジャーナリストとして20年以上の経験を持つ。2024年9月より現職に就き、業界の大物たちへのインタビューを定期的に行う一方、AUTOCARの特集記事や新セクションの指揮を執っている。特にモータースポーツに造詣が深く、クラブラリーからトップレベルの国際イベントまで、ありとあらゆるレースをカバーする。これまで運転した中で最高のクルマは、人生初の愛車でもあるプジョー206 1.4 GL。最近ではポルシェ・タイカンが印象に残った。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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