英国、EV規制を緩和 ハイブリッド車は2035年まで販売可能に 「トランプ関税」の影響も

公開 : 2025.04.08 06:45

ハイブリッド車は2030年以降も販売可能

英国政府は、ハイブリッド車の販売を2035年まで継続させることで、「移行を容易にし、業界に準備のための時間を与える」ことができるとしている。

先月、英国ではプラグインハイブリッド車(PHEV)の登録台数が前年同月比で37.9%増加し、マイルドハイブリッド車を含むその他のハイブリッド車も27.7%増加した。これにより、部分的に電動化されたクルマの市場シェアは合計で25%となり、純粋なEVの20.7%を上回った。

日産の『eパワー』車など、いわゆるフルハイブリッドモデルも2035年まで販売が可能になる。
日産の『eパワー』車など、いわゆるフルハイブリッドモデルも2035年まで販売が可能になる。

今から5年前、ボリス・ジョンソン前首相は2030年までにエンジン搭載車の新車販売を禁止する方針を打ち出し、一方で「十分な電気走行距離」を持つ一部のハイブリッド車についてはさらに5年間販売を継続することを認めた。ただし、「十分な」の定義は一度も示されたことがない。

政府は現在、2030年から2035年の間は「フル」ハイブリッド車(HEV)とPHEVモデルの販売を認めるとしているが、具体的な仕様要件はまだ提示されておらず、代わりにいくつかの例が挙げられている。政府は、トヨタプリウスをHEVの一例として挙げているが、このモデルは現在、英国ではプラグインハイブリッド車としてのみ販売されている。また、電気駆動だが、ガソリンエンジンにより小容量の駆動用バッテリーを充電する日産のeパワー搭載車も挙げている。

政府は、2030年以降、メーカーは「ガソリン車およびディーゼル車のCO2排出量を2021年比で10%削減する」必要があると述べている。

AUTOCARは、マイルドハイブリッド、レンジエクステンダー、従来のフルハイブリッドにとって、この新しいルールが具体的に何を意味するのか、運輸省に問い合わせている。

それでも、この発表は、EVの需要が予想よりも伸び悩む中、ラインナップの脱炭素化を目指してハイブリッド技術に多額の投資を行っている自動車メーカーにとって、大きな安心材料となるだろう。

例えば、トヨタは以前、英国バーナストン工場で生産しているカローラのようなフルハイブリッド車が、2030年にガソリンエンジン車との併売が禁止された場合、英国での事業に「大きな影響が出る」と警告していた。

また、キアの英国部門代表であるポール・フィルポット氏は最近、AUTOCARの取材に対し、2030年以降のハイブリッド車の販売に関する明確な方針が示されれば、「その期間における製品ラインナップに関する最終的な決定を下すのに役立つ」と語っている。

SMMTは以前、政府に対して「ハイブリッド、プラグインハイブリッド、水素など、すべての技術が、2035年までにゼロ・エミッション市場への足がかりとして、あるいはその完全な実現として、道路輸送の脱炭素化に果たす役割」を認識するよう強く求めていた。

一方、政府は商用車について、ハイブリッドやプラグインハイブリッドとともに2035年まで純エンジン車の販売を継続できるとしている。

メーカーがZEV義務化の目標を達成できなかった場合の罰金も、1台あたり1万5000ポンド(約280万円)から1万2000ポンド(約225万円)に引き下げられた。

フォード英国部門代表のリサ・ブランキン氏はこのニュースを歓迎する一方で、購入者にEVへの乗り換えを促すためには、さらに多くの対策が必要だと語った。

「政府のZEV義務化に関する協議への対応は、正しい方向への小さな一歩ではありますが、特に厳しいEV市場の状況に対処するには不十分です」

「フォードは、罰金を軽減するための新たな柔軟性の導入と、ハイブリッド技術が2030年以降も許可されることを歓迎しますが、実際のメリットを評価するためには詳細を待たなければなりません。フォードは、幅広いEVをお客様にお届けするために、製品開発、製造、マーケティングに数十億ポンドを投資してきました。英国に必要なのは、消費者がEVに乗り換えるのを支援する真のインセンティブです」

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    役職:副編集長
    AUTOCARの若手の副編集長で、大学卒業後、2018年にAUTOCARの一員となる。ウェブサイトの見出し作成や自動車メーカー経営陣へのインタビュー、新型車の試乗などと同様に、印刷所への入稿に頭を悩ませている。これまで運転した中で最高のクルマは、良心的な価格設定のダチア・ジョガー。ただ、今後の人生で1台しか乗れないとしたら、BMW M3ツーリングを選ぶ。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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