英国、EV規制を緩和 ハイブリッド車は2035年まで販売可能に 「トランプ関税」の影響も

公開 : 2025.04.08 06:45

少量生産メーカーは規制の対象外

ZEV規制の改訂により、「少量生産および超少量生産」メーカーはZEV目標と2030年から2035年のハイブリッド車要件の適用が除外される。大手企業とは異なり、2030年までに80%のEV販売比率を達成する必要がなくなった。

政府は、免除が認められる企業の具体的な例としてマクラーレンアストン マーティンを挙げているが、「少量生産」の定義は年間2500台未満を生産する企業すべてに適用される。

年間生産台数が少ないモーガン(写真)のようなメーカーは電動化への猶予期間を与えられた。
年間生産台数が少ないモーガン(写真)のようなメーカーは電動化への猶予期間を与えられた。

この決定について、「英国自動車産業の最も象徴的な宝石のいくつかを、今後何年にもわたって存続させる」のに役立つと政府は述べている。

現在、アストン マーティンもマクラーレンもEVを販売しておらず、アストンは最近、プラグインハイブリッド・スポーツカーの新ラインナップ構築を優先し、初のEVの発売を延期した。今回の免除措置により、ベントレーロールス・ロイスロータス、LEVCといった企業も、顧客がエンジン車からEVなどの代替車に移行する時間をより多く確保できるようになる。

この免除は、モーガン、ケータハムアリエルラディカルBACゴードン・マレー・オートモーティブなどの超少量生産スポーツカーメーカーにも適用される。これらのメーカーはいずれも、まだEVを生産していない。

モーガンの最高経営責任者であるマシュー・ホール氏は最近、AUTOCARの取材に対し、2030年までに純粋なEVを開発するには時間が足りないと述べ、規制の方向性について早急に明確にするよう求めていた。

同氏は、少量生産メーカーに対するZEV規制のルールには「曖昧な部分が多すぎる」と苦言を呈し、2030年にEV販売比率を80%に引き上げる義務が免除されるかどうかによって、モーガンの今後の戦略が完全に左右されると語った。

より柔軟なEV販売目標

ZEV規制の主要目標は変更されていない。つまり、メーカーは今年28%のEV販売比率を達成し、2030年までに80%を目指さなければならない。しかし、非ゼロ・エミッション車CO2取引スキーム(CCTS)の柔軟性が増したことで、規制を遵守しやすくなった。

このCCTSは基本的に、メーカーがCO2削減目標を上回ることで、EV以外のクルマの販売を相殺し、その年に達成すべきEV販売比率の目標値に近づくことができる。

EV販売目標は変わっていないが、目標の達成が比較的容易になった。
EV販売目標は変わっていないが、目標の達成が比較的容易になった。

CCTS制度の重要な変更点の1つは、2029年までクレジット移転の仕組みを利用できるようになったことである。これまでクレジットは2026年までの3年間しか使えなかった。

これにより、今後5年間は「ハイブリッド車によるCO2削減に対して、大幅な追加的柔軟性」が得られると政府は述べている。

政府は毎年の上限を設定するが、その具体的な内容は未定だ。

一方、EV販売クレジットを翌年以降の年から「前借り」するという仕組みも、これまで2026年までとされていたが、今後は2030年まで可能になる。

つまり、自動車メーカーは、ある年にZEV目標を達成できなかったとしても、翌年で補うことができればよいということだ。ただし、この場合にも上限が設けられる。

現在、2025年の目標EV販売比率28%の半分まで「借り入れ」が認められているが、来年にはこれが4分の1に減少する。

最後に、メーカーは今後、商用車と乗用車の間でクレジットを交換できるようになる。EVの乗用車1台分のクレジットは商用車のクレジット0.4台分と交換でき、EV商用車のクレジットは乗用車2台分と交換できる。

こうした柔軟性は、ステランティス(ヴォグゾールプジョーなどの親会社)も前向きに受け止めている。

同社の英国部門のMDであるユーリグ・ドルース氏は、「厳しい地政学的な事業環境と自動車業界への高まる激しい圧力」を踏まえ、この決定は「ステランティスが規制を準拠する上で役立つ」と述べた。

同氏はまた、「EVへの移行が進んでいるとはいえ、ZEV規制のペースにはまだ達していません。当社は、お客様に自由な選択肢を提供できる柔軟性を歓迎します。しかし、市場の需要に対応し、それを刺激する措置を導入する必要性は依然としてあります。この点については、今後も政府と緊密に連携していきます」と付け加えた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    役職:副編集長
    AUTOCARの若手の副編集長で、大学卒業後、2018年にAUTOCARの一員となる。ウェブサイトの見出し作成や自動車メーカー経営陣へのインタビュー、新型車の試乗などと同様に、印刷所への入稿に頭を悩ませている。これまで運転した中で最高のクルマは、良心的な価格設定のダチア・ジョガー。ただ、今後の人生で1台しか乗れないとしたら、BMW M3ツーリングを選ぶ。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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