洗練度が光る1.5L HV登場 メルセデス・ベンツCLA ハイブリッド  あえて選ぶ理由は小さい?

公開 : 2025.12.12 18:05

穏やかな普段使いを重視したシャシー

試乗車は四輪駆動で、雪が積もったアルプス山脈の峠道を難なくクリアしていた。特に後輪のトラクションが有効といえ、発進加速は充分鋭く、速度域の高いカーブでの操縦性や安定性も素晴らしい。

ただし、変速へやや消極的なATと、物足りないパワー感が相まって、連続するカーブを意欲的に走ろうという気にはなりにくい。ステアリングは適度に重く、正確に反応するが感触は薄め。シャシーの特性も、穏やかな普段使いを重視した設定にある。

メルセデス・ベンツCLA 220 4マティック・ハイブリッド(欧州仕様)
メルセデス・ベンツCLA 220 4マティック・ハイブリッド(欧州仕様)

サスペンションは、巧妙に衝撃を吸収。カーブでのボディロールも、良く抑えられていた。凹凸が目立つアスファルトでも、ステアリングコラムやシートレールが震えることはナシ。高速道路での快適性は高く、走行音も控えめだ。

バランス良い小柄な上級サルーン

充電する手間がないという点が、新たな強みといえるハイブリッド版のCLA。しかし、EV版の航続距離は不足ないほど長く、急速充電は速く、あえてエンジン版を選ぶ必要性を感じにくいことも事実だろう。英国価格も、そこまで大きくは違わない。

燃費は平均で18.0km/L前後と、このクラスをリードするほどではない。EV版には革命的な飛躍を感じたが、ハイブリッド版は先代からの穏やかな進化系、と表現できる。

メルセデス・ベンツCLA 220 4マティック・ハイブリッド(欧州仕様)
メルセデス・ベンツCLA 220 4マティック・ハイブリッド(欧州仕様)

とはいえ、しっかり新しい。乗り心地に優れ、走りは安定し、見た目もスタイリッシュ。小柄な上級サルーンとして、バランス良く仕上げられていることは間違いない。

◯:格上のサルーンへ肉薄する長距離の快適性 広々とした車内 滑らかで直感的に扱えるハイブリッド・パワートレイン
△:燃費はほどほど メリットが小さいスーパースクリーン 高負荷時にやや力不足

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    役職:副編集長
    AUTOCARの若手の副編集長で、大学卒業後、2018年にAUTOCARの一員となる。ウェブサイトの見出し作成や自動車メーカー経営陣へのインタビュー、新型車の試乗などと同様に、印刷所への入稿に頭を悩ませている。これまで運転した中で最高のクルマは、良心的な価格設定のダチア・ジョガー。ただ、今後の人生で1台しか乗れないとしたら、BMW M3ツーリングを選ぶ。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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