価格1000万円切りの大本命『マセラティ・グレカーレ・エッセンツァ』 ライバルと決定的に違う美しさや躍動感

公開 : 2026.02.18 11:45

マセラティのミドルサイズSUV『グレカーレ』に、価格1000万円を切るベーシックモデルが登場しています。しかし価格だけでなく、デザインやドライブフィールにも魅力があるようです。吉田拓生がレポートします。

990万円、待望のベーシックモデル登場

マセラティのミドルサイズSUV、『グレカーレ』。2022年の発表以来、普段使い出来るイタリアンプレミアムとしての評価が高まっているシリーズに昨年8月、魅力的なベーシックグレードが追加された。今回の試乗車、車両価格990万円の『グレカーレ・エッセンツァ』である。

円安の影響をもろに受ける近年の輸入車シーン。しかも本国における価格自体が1割2割というレベルでグングンと上がっている。そんなタイミングで車両価格を抑えることは簡単ではないだろう。何しろブランドは、モデナの名門マセラティなのだから。

1000万円を切ってきたベーシックグレード、『マセラティ・グレカーレ・エッセンツァ』。
1000万円を切ってきたベーシックグレード、『マセラティ・グレカーレ・エッセンツァ』。    佐藤亮太

1000万円を切るためにレンタカーのような簡素な仕立てになっていたら拍子抜け。かといってオプションてんこ盛りでお買い得感がぼやけてしまってもガッカリなのである。

試乗車のボディカラーは『ネロ・テンペスタ』と呼ばれるメタリックブラックだった。エッセンツァ用意されるカラーリングは4種類で、基本のビアンコ(ソリッドの白)以外の3色はオプション(21万円)扱いとなる。

ということで、いきなり1000万円を少しだけ超えてしまったわけだが、『ネロ・グリージョ』と呼ばれる黒基調のレザーでダッシュやドアインナーまでトリムされた室内は、マセラティらしさに溢れている。コクピット中央に据えられた上下2枚のモニターも、グラントゥーリズモ等と同じものが備わっていた。

簡素ではなく軽快、新たな走りの個性

さっそくステアリング上の青いボタンでエンジンを呼び覚ました。

エッセンツァのパワーユニットは2L直列4気筒ターボで、最高出力は300ps。48V駆動のBSG(ベルト駆動スタータージェネレーター)を備えたマイルドハイブリッド(MHEV)ユニットなのだが、それに加えeブースターと呼ばれる電動コンプレッサーも追加されており、ターボの働きをアシストする。

4気筒モデルのグレカーレに宿っているのは、スタイリングから想像できる以上の軽快さ。
4気筒モデルのグレカーレに宿っているのは、スタイリングから想像できる以上の軽快さ。    佐藤亮太

走り出しは、ターボというより4L自然吸気エンジンのような図太いトルクが感じられた。スロットルをさらに強く踏み込むと、硬質な排気音とパワー感がきれいにシンクロし、マセラティらしいスポーティな走りの世界が現出する。

この4気筒ターボはレブリミットこそ5500回転と低めだが、1920kgの車体をストレスなく走らせることができる。4気筒モデルのグレカーレに宿っているのは、スタイリングから想像していた以上の軽快さだ。

以前試乗したネットゥーノV6搭載の『グレカーレ・トロフェオ』と比べると身のこなしが明らかに軽く、路面からのフィードバックの解像度も高い。これは110kgという車重の差だけではなく、足まわりの構造も関係しているはずだ。

トロフェオは、エアサスと21インチのタイヤによるしっとりとして重厚な乗り味。対するエッセンツァは、コイルスプリングと19インチホイール+マッド&スノータイヤの組み合わせで、これが走りの個性を決定づけている。そう、エッセンツァはベーシックというより、ライトウェイトスポーツのような走りでドライバーを魅了する存在なのである。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 撮影

    佐藤亮太

    Ryota Sato

    1980年生まれ。出版社・制作会社で編集経験を積んだのち、クルマ撮影の楽しさに魅了され独学で撮影技術を習得。2015年に独立し、ロケやスタジオ、レース等ジャンルを問わない撮影を信条とする。現在はスーパーカーブランドをはじめとする自動車メーカーのオフィシャル撮影や、広告・web・雑誌の表紙を飾る写真など、様々な媒体向けに撮影。ライフワークとしてハッセルブラッドを使い、生涯のテーマとしてクラシックカーを撮影し続けている。佐藤亮太公式HPhttps://photoroom-sakkas.jp/ 日本写真家協会(JPS)会員
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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