ヒョンデ欧州部門トップが語る「チェスの駒」デザイン戦略 「ファミリー意識」強調しつつ個性も演出

公開 : 2026.02.17 07:05

ヒョンデは各モデルの外観の統一感を高め、ラインナップ全体で「ファミリー」らしさを強調していく方針です。クロスオーバー車とSUVはタフなデザイン、ハッチバックは滑らかなシルエットを採用する可能性があります。

各モデルの結びつきを強める

ヒョンデは、各モデルの外観の共通性を強め、より統一感のあるラインナップを目指す方針だ。ただ、個性を明確化する「チェスの駒」的なデザイン戦略から完全に離れるわけではない。

欧州部門の最高経営責任者ザビエル・マルティネ氏は、昨年発表したコンセプトカー『コンセプト・スリー』について、競合他社との差別化と顧客ニーズの変化に対応するため、今後も印象的なデザインを採用していくという同社の意思を表明したものだと述べた。

左からアイオニック5、アイオニック6、サンタフェ
左からアイオニック5、アイオニック6、サンタフェ    ヒョンデ

「昨年ミュンヘン・モーターショーでコンセプト・スリーを発表したとき、人々は『ついに、SUVとは違うまったく新しいクルマが登場した。非常に力強いデザインだ』と言ってくれました」とマルティネ氏は語った。

ヒョンデは「市場にまだないものを創造する」ことをデザイン戦略の中心に据えているという。

しかし、マルティネ氏は、ヒョンデのラインナップには統一感が欠けており、現行モデルはピクセル型のライトデザインなど小さな特徴によってのみ弱く結びついていることを認めた。今後のモデルでは、もっと分かりやすい包括的なデザイン言語を導入することでこの点を改善していくという。

「これまで当社のモデル間には、このような体系的なファミリー意識はなかったかもしれません。現在、この点の改善に取り組んでいるところですが、決して『コピー機』のようなことはせず、その逆の方向性を追求するつもりです。この方向性を追求しすぎたブランドもいくつか見受けられます」

デザインと価格のバランス

マルティネ氏は、チーフデザイナーのイ・サンヨプ氏が提唱する「チェスの駒」戦略を引き続き採用していくと述べた。この戦略では各モデルの個性を強調しつつも、「意味のある何かの一部であるというファミリー意識」が必須だという。

「新型車ではそれを実現しようとしています。各モデルの個性と、ブランドへの帰属意識がより強く感じられるようになるはずです」

昨年公開されたコンセプト・スリー。今春に量産モデルが発表予定だ。
昨年公開されたコンセプト・スリー。今春に量産モデルが発表予定だ。    ヒョンデ

具体的な詳細は明かされていないが、クロスオーバー車とSUVには、最新型の『サンタフェ』や水素自動車『ネッソ』を基盤とするタフなオフローダースタイルの処理が施されるだろう。一方、ハッチバックなど車高の低いモデルは、より滑らかで洗練されたシルエットを採用する可能性がある。

マルティネ氏は、顧客がクルマを選ぶ際には「まずデザインと価格を考慮する」と述べているが、この2つの要素の重要度は、対象となるセグメントによって異なる。

「クルマは大きいほど、デザインが重要になります。なぜなら、お客様は複数の選択肢から選べるからです。一方、AセグメントやBセグメントでは、予算に制約のある人々が多く、価格が重要視されます」

「お客様も人間です。価格やパワートレインといった合理的な要素と、デザインという感情的な要素があります。常にこの2つの要素のバランスが重要であり、ヒョンデにとっては、それがプロジェクトの核心です」

「お客様との感情的なつながりも構築する必要があるため、デザインは本当に根本となる要素です。例えば、アイオニック5のような外観のクルマは他に見当たりません。インスターは極めて個性的なクルマです。そしてアイオニック9もまた、非常に個性的な存在です」

「感情的アプローチと合理的アプローチを同時に維持することこそ、成功の鍵であると言えます」

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    役職:副編集長
    AUTOCARの若手の副編集長で、大学卒業後、2018年にAUTOCARの一員となる。ウェブサイトの見出し作成や自動車メーカー経営陣へのインタビュー、新型車の試乗などと同様に、印刷所への入稿に頭を悩ませている。これまで運転した中で最高のクルマは、良心的な価格設定のダチア・ジョガー。ただ、今後の人生で1台しか乗れないとしたら、BMW M3ツーリングを選ぶ。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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