BMW i4 M60 xドライブ(2) 0-100km/h加速4秒切り EV市場成熟で高まる競争力 ただし航続距離は物足りず

公開 : 2026.02.17 18:10

改良で熟成を深める電動サルーンのBMW i4 2モーターで601psを繰り出すM60 xドライブ スポーティな運転姿勢 車重を感じさせない乗り心地と回頭性 現実的な航続は380km UK編集部が試乗

数字ほど速く感じにくい精緻制御なモーター

ツインモーターで601psの、BMW i4 M60 xドライブは速い。最新の高性能バッテリーEVと比べれば、度肝を浮かされるほどではないが、0-100km/h加速を3.8秒でこなしてみせた。0-400mのドラッグレースも、12.0秒を僅かに切る。

駆動用モーターの制御が精緻で、加速は極めて滑らか。雨が降っていても、容赦なく静かに速度を上昇させるため、不思議と数字ほど速く感じられないことも事実ではある。直6エンジンのドラマチックさが、恋しく感じる可能性はあるだろう。

BMW i4 M60 xドライブ(英国仕様)
BMW i4 M60 xドライブ(英国仕様)

しかし、アクセルペダルの即時的な反応は魅力的。正確にトルクを引き出せる。ボディ後方を軽く沈めながら、途切れない加速Gを楽しめるのはEVならではだ。

聴覚的な特徴を求めて、BMWはアイコニック・サウンド・エレクトリックという人工音を用意している。エンジン音を模した響きだが、どこかシンセサイザーで作ったゲーム音のよう。短時間なら、聴き飽きないと思う。

車重を感じさせない乗り心地 出色の回頭性

回生ブレーキの強さは、タッチモニター上で3段階から選択可能。惰性走行とワンペダルドライブには対応しない。効きはパドルで選べた方が、運転体験はより良くなるはず。

オプションのMスポーツ・ブレーキは、サーキットでも充分なほど強力。回生と摩擦の切り替わりがシームレスで、ペダルの踏み応えは一貫し、必要な制動力を得やすい。

BMW i4 M60 xドライブ(英国仕様)
BMW i4 M60 xドライブ(英国仕様)

サスペンションは、BMWらしく引き締まったもの。とはいえ、凹凸が目立つ舗装でも落ち着きは良く保たれる。鋭い入力は巧みに吸収され、高い速度域でのカーブも安定。車重を感じさせない、上質さがある。

ステアリングホイールの手応えは頼もしく、航続距離重視の18インチ・ホイールでも回頭性は秀抜。グリップもトラクションも不足なく、信頼感を抱きやすい。濡れた路面でDSCをオフにすれば、巧妙なパワー分配が相乗し、積極的なコーナリングも楽しめる。

7シリーズ並みに静か 現実的な航続は380km

サーキットでもi4 M60 xドライブを試したが、優れたシャシーバランスで、大パワーを存分に引き出すことが可能だった。ただし、ツインモーターのトルクベクタリング機能の制御は、やや予想しにくく感じた。

DSCを切った場合には、前後のトルク割合も変化しない方が扱いやすいはず。アングルの浅いドリフトは安定しているものの、深くなると修正が難しくなる印象がある。

BMW i4 M60 xドライブ(英国仕様)
BMW i4 M60 xドライブ(英国仕様)

走行中の車内は、電動パワートレインの強みが活き、BMW 7シリーズ並みに静か。高速域での乗り心地もしっとり滑らかで、長距離移動を悠々とこなせる。

今回の試乗で得られた航続距離は、平均で380km。価格を踏まえればもう少し伸びて欲しいところだが、日常的には不満を感じる可能性は低いだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

BMW i4 M60 xドライブの前後関係

前後関係をもっとみる

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事