イタリアのデザイン、イギリスのコーチビルドにアメリカのエンジン! 超希少車『ジェンセン・インターセプターIII』は50歳以上が乗れるクルマ?

公開 : 2026.04.25 12:05

4月11~12日に開催された『コンコルソ・デレガンツァ・ジャパン2026』。『カロッツェリア・トゥーリング100周年』の展示に『ジェンセン・インターセプターIII』の姿がありました。内田俊一が紹介します。

「お前みたいな若造が乗るクルマちゃう、50になってから乗れ」

4月11~12日、奈良にある世界遺産の法相宗大本山薬師寺において開催された『コンコルソ・デレガンツァ・ジャパン』。今回のテーマのひとつに『カロッツェリア・トゥーリング100周年』があり、10台がエントリーした。その中の1台に珍しい『ジェンセン・インターセプターIII』が参加していたので、オーナーに話を伺ってみた。

「僕の伯父が乗っていたことがあって、若い頃に譲ってもらおうとゴマすりに行ったら、『お前みたいな若造が乗るクルマちゃう、50になってから乗れ』って言われて。それで50になって、探し出したんです」と話すのは、このクルマのオーナーで大阪にお住いの湯川晃宏さんだ。

ジェンセン・インターセプターIIIと、オーナーの湯川晃宏さん。
ジェンセン・インターセプターIIIと、オーナーの湯川晃宏さん。    内田俊一

イギリスのジェンセンが1966年にロンドン・モーターショーで発表したインターセプター。カロッツェリア・トゥーリングのデザインで、カロッツェリア・ヴィニャーレがボディを手がけたインターセプターIIIは、クライスラー製7.2リッターV型8気筒OHVをフロントに搭載し、3速ATが組み合わされる。

トゥーリングがデザインし、ヴィニャーレにて製造

1934年に設立されたジェンセン。当初はいわゆるコーチビルダーだったが、すぐに自社名を冠したクルマの製造も始める。戦後はビッグヒーレーなどのボディ製造を請け負う一方、いくつものスポーティなクルマを作り上げた。そのひとつがインターセプターIIIだ。

デザインコンペにはカロッツェリア・ギア、トゥーリング、ヴィニャーレが参加し、トゥーリング案が採用。しかしトゥーリングで量産のボディ製造ができないことが判明したことから、ジェンセンがそのデザイン案を買い取り、ヴィニャーレにて製造することになったのだ。

1934年設立のジェンセン。当初はコーチビルダーだったが、自社名を冠したクルマの製造も始めた。
1934年設立のジェンセン。当初はコーチビルダーだったが、自社名を冠したクルマの製造も始めた。    内田千鶴子

なお、インターセプターIIIは1971年8月~1976年12月に生産され、その台数は4255台と伝えられている。

ディーラーものでワンオーナー

さて、50歳を過ぎた湯川さんは真剣にインターセプターIIIを探し始めたが、国内で見つけることができなかった。そこで、イギリスに良い売り物があると聞いて見に行こうと思った矢先、日本に1台売り物が出た。しかもディーラーものでワンオーナーだ。

「ただし、倉庫にずっと眠っていて、起こすのにすごくかかるけれどどうですかと言われて。でもその日に即決しました」

クライスラー製7.2リッターV型8気筒OHVをフロントに搭載する。
クライスラー製7.2リッターV型8気筒OHVをフロントに搭載する。    内田俊一

しかも、「僕の住まいからすぐのところに眠ってたんです。3年くらい探しまくってたんですよ。本当に縁ですね」としみじみ語る湯川さん。しかし大変なのはそこからだった。

「ガソリン系はみなアウトで、配管含めてすべてやり直し。キャブもアウト。その辺は苦労しましたけど、しっかり直しました」

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    内田俊一

    Shunichi Uchida

    日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を生かしてデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。長距離試乗も得意であらゆるシーンでの試乗記執筆を心掛けている。クラシックカーの分野も得意で、日本クラシックカークラブ(CCCJ)会員でもある。現在、車検切れのルノー25バカラとルノー10を所有。
  • 撮影

    内田千鶴子

    Chizuko Uchida

    イタリアとクルマが大好きで、1968年式のFiat 850 spider Serie2を20年以上所有。本国のクラブツーリングにも何度か参加している。イタリア旅行時は、レンタカーを借りて一人で走り回る。たまたま夫が自動車ジャーナリストだったことをきっかけに取材を手伝うことになり、写真を撮ったり、運転をしたりすることになった。地図は常にノースアップで読み、長距離試乗の時はナビを設定していても、ナビシートで常に自分で地図を見ていないと落ち着かない。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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