イタリアのデザイン、イギリスのコーチビルドにアメリカのエンジン! 超希少車『ジェンセン・インターセプターIII』は50歳以上が乗れるクルマ?

公開 : 2026.04.25 12:05

基本的には内外装ともフルオリジナル

基本的には内外装ともフルオリジナルであったことや、内装のコノリーレザーも汚れを落とす程度ですぐにきれいになったので、素性自体はとても良かった様子。湯川さんは自分で手を入れることを厭わない、というよりもそれも楽しみのひとつと心得ているようだ。

「小さいころから時計をばらして、組み立てられなくなっちゃったり(笑)。メカが好きなんですよ。だから壊れるクルマはウェルカムですし、輪をかけて奥さんがね、理解あるから。最近のインターセプターIIIは優等生になって、ちょっと物足りないんですが、よく壊れました。

内装のコノリーレザーは汚れを落とす程度ですぐにきれいになったそう。
内装のコノリーレザーは汚れを落とす程度ですぐにきれいになったそう。    内田俊一

でも、壊れた時に何が原因かを探求するのが好きなんです。ガソリンなのか、電気なのか、とか。そして、多分これやなと思って原因を突き止めて直った時の快感がね、もう癖になっているんです」

エアコンは使ったらダメ

さて、このクルマの魅力について湯川さんに伺ってみよう。

「ふたつのカロッツェリアが絡んでいることですね。さらに、エンジンはクライスラーの7.2リッターV型8気筒という組み合わせが、攻めていて好きなんです。普通7.2リッターV8というと、ものすごい馬力でドカーンって走るようなイメージでしょ。実際に走らせてみると、実は全然マイルドなんです。

世界遺産の薬師寺において開催された『コンコルソ・デレガンツァ・ジャパン』に参加した。
世界遺産の薬師寺において開催された『コンコルソ・デレガンツァ・ジャパン』に参加した。    内田千鶴子

多分、3速ATということもあるんでしょうね。決して速くないし、加速感も全然ないんですよ。でも氷の上をすべるような滑らかさ、それがもうたまんないです。60km/hくらいで流していると最高ですよ」

ただし、やはりというか想像どおりというか、夏はかなり厳しいそうだ。

「エアコンはついていますが、使ったらダメです。V8だから真夏は凄いヒートするんです。だから僕が乗るのは、春秋冬。夏は絶対乗らない。冬は最高です。ヒーターはすぐ効くしね。ですから、クルマの特性を知ってどう使うかを考えるもものすごい楽しいんですよ」

自分の中で使い切れて、自分で直せるクルマが最高

そのうえで、「嫌いなクルマはないんですよ、なんでもOK」と、クルマのことを語る湯川さんは本当に楽しそうだ。ちなみにこのインターセプターIII以外にも、戦前車から最近のフェラーリまで複数台を所有している。

「やはり、自分の中で使い切れて、自分で直せるクルマが最高ですね」と語り、奥さまとともにカーライフを謳歌しているようだった。

イタリアのデザイン、イギリスのコーチビルドと内装、アメリカのエンジンを良いとこどりした1台。
イタリアのデザイン、イギリスのコーチビルドと内装、アメリカのエンジンを良いとこどりした1台。    内田千鶴子

ジェンセン・インターセプターIIIは、典型的なイギリス車らしくボディの作りはしっかりとして、ドアはそっと力を添えるだけでかちゃりと閉まる。まさにイタリアのデザイン、イギリスのコーチビルドと内装、アメリカのエンジンというそれぞれの得意とするところを組み合わせた4座GTなのだ。

そんな1台を見極めて手元に置いて楽しんでいる湯川さんは、相当な好事家なのである。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    内田俊一

    Shunichi Uchida

    日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を生かしてデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。長距離試乗も得意であらゆるシーンでの試乗記執筆を心掛けている。クラシックカーの分野も得意で、日本クラシックカークラブ(CCCJ)会員でもある。現在、車検切れのルノー25バカラとルノー10を所有。
  • 撮影

    内田千鶴子

    Chizuko Uchida

    イタリアとクルマが大好きで、1968年式のFiat 850 spider Serie2を20年以上所有。本国のクラブツーリングにも何度か参加している。イタリア旅行時は、レンタカーを借りて一人で走り回る。たまたま夫が自動車ジャーナリストだったことをきっかけに取材を手伝うことになり、写真を撮ったり、運転をしたりすることになった。地図は常にノースアップで読み、長距離試乗の時はナビを設定していても、ナビシートで常に自分で地図を見ていないと落ち着かない。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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