ホンダのスポーツコンパクトEV『スーパーワン』ついに市販化! 軽さと重心とディメンジョンを活かしたシャシーファスター誕生【渡辺敏史がプロトタイプを検分】

公開 : 2026.04.10 11:00

ホンダN-ONE e:ベースのスポーツコンパクトEV、『Super-ONE』(スーパーワン)がついに市販化されます。右ハンドル地域に輸出もされる、戦略車としての役割も持つようです。渡辺敏史がプロトタイプを取材しました。

軽自動車のアーキテクチャーを世界で展開

ホンダ『Super-ONE』(以下スーパーワン)は、軽乗用車である『N-ONE e:』をベースに開発されたBEVのスポーツコンパクトだ。その存在は昨夏のグッドウッドで行われたフェスティバル・オブ・スピードでのデモランで公となり、その後はインドネシア国際モーターショーをはじめ、ジャパンモビリティショー2025などの展示で認知を広げてきた。

と、ここで、スーパーワンのプロモーションがなぜ海外でも行われているか疑問に思われる方がいるかもしれない。実はスーパーワンは日本以外の市場、具体的には英国、オーストラリア、ニュージーランド、タイ、インドネシア、シンガポール、ブルネイといった左側通行、右ハンドルの地域で販売が予定されている。生産は鈴鹿製作所ゆえ、全量が輸出での対応だ。

軽乗用車『N-ONE e:』をベースに開発された『スーパーワン』は、サイズ拡大で乗用車登録になる。
軽乗用車『N-ONE e:』をベースに開発された『スーパーワン』は、サイズ拡大で乗用車登録になる。    中島仁菜

理由は純粋な需要に対する期待もあれば、CAFE(企業平均燃費基準)対策の側面もあるものの、ホンダにとって意味ある挑戦となるのが、果たして軽自動車のアーキテクチャーを世界で展開できるのかという点だ。

ここに可能性が見いだせれば、国内専用だった開発や生産のリソースが分散できることになる。コストやパッケージの面で卓越しているこのソリューションを活かせないかについては当然各社が模索しているが、海外市場に問うという決断はなかなか思い切ったものだ。

軽さを利したファントゥドライブ

そんな背景からも、スーパーワンが目指すのは単に便利で見栄えがいい小さいクルマというだけではない。床面積的にバッテリーの搭載量が限られることを逆手に取って、軽さを利したファントゥドライブを前面に押し出そうとしている。

ちなみにスーパーワンの重量は1090kgと、ベースモデルのN-ONE e:に対して60kg増に抑えられている。例えばBYDドルフィンが1520kg〜、ヒョンデ・インスターが1300kg〜とあらば、その軽さは際立ったものになる。いわゆるOEMが手掛ける登録車のBEVとしては、最軽量級ではないだろうか。

スーパーワンの重量は1090kgと、N-ONE e:に対して60kg増に抑えられる。
スーパーワンの重量は1090kgと、N-ONE e:に対して60kg増に抑えられる。    中島仁菜

但し搭載するバッテリーは29.6kWhとN-ONE e:と同じだ。対して航続可能距離は21km落ちに留めて274kmとしているが、片道100km以上の遠乗りには経路充電がマストになるだろう。受電能力は50kWだが、バッテリー容量を鑑みれば必要十分といえる。いずれにせよ、乗りこなすにあたっては足るを知る心持ちが求められるクルマだ。

現時点ではプロトタイプという扱いになるが、スーパーワンの全長は3580mm、全幅は1575mm。敢えて初代シティになぞらえれば、全長はターボ2より長いが、全幅はターボとほとんど同じといったプロファイルになる。

トレッドはN-ONE e:より前後が50mm広く、タイヤは前後185/55R15のアドバン・フレバを装着していた。トレッド出しはスペーサーを噛ませるようなにわか仕事ではなく、フロントはナックルやロアアームを作り直し、剛性や質量を合わせるためにドライブシャフトの左右径を変えるなど、専用開発を加えている。リアのトーションビームも形状は変わらずとも、板厚を上げるなど剛性や耐久性の対策も施された。

ちなみにバネやダンパーなども専用チューニングだが、アームを作り直すことで長さや取付角をN-ONE と同じにしているため、アフターマーケットのサスシステムもほぼ無加工で装着が可能とのことだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    渡辺敏史

    Toshifumi Watanabe

    1967年生まれ。企画室ネコにて二輪・四輪誌の編集に携わった後、自動車ライターとしてフリーに。車歴の90%以上は中古車で、今までに購入した新車はJA11型スズキ・ジムニー(フルメタルドア)、NHW10型トヨタ・プリウス(人生唯一のミズテン買い)、FD3S型マツダRX-7の3台。現在はそのRX−7と中古の996型ポルシェ911を愛用中。
  • 撮影

    中島仁菜

    Nina Nakajima

    幅広いジャンルを手がける広告制作会社のカメラマンとして広告やメディアの世界で経験を積み、その後フリーランスとして独立。被写体やジャンルを限定することなく活動し、特にアパレルや自動車関係に対しては、常に自分らしい目線、テイストを心がけて撮影に臨む。近年は企業ウェブサイトの撮影ディレクションにも携わるなど、新しい世界へも挑戦中。そんな、クリエイティブな活動に奔走しながらにして、毎晩の晩酌と、YouTubeでのラッコ鑑賞は活力を維持するために欠かせない。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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