エリザベス女王やローマ教皇を乗せた過去 ロールス・ロイス・ファントムIII(2) 不気味なほど静寂 発注者は道楽息子

公開 : 2026.10.25 17:50

番外編:圧巻のクラシック・オープンボディ

ロールス・ロイス・ファントムV/VI ステート・ランドーレット(1959〜1990年)

オープンボディのロールス・ロイス・ランドーレットの注文は、王族や国家元首に限られていた。初期のファントムV ランドーレットは、コーチビルダーのパークウォード社の手で3台が製造され、その内の1台は故エリザベス女王へ届けられている。

VA仕様のマリナー・パークウォード社製ファントムV ランドーレットは、4灯ヘッドライトを獲得。タンザニア大統領やバーレーン王国、ルーマニア政府などへ届けられた。

ロールス・ロイス・ファントムV/VI ステート・ランドーレット(1959〜1990年)
ロールス・ロイス・ファントムV/VI ステート・ランドーレット(1959〜1990年)    ルイス・ドゥアルテ(Luis Duarte)

パレードといった公式行事を想定し、リアシートが約75mm持ち上がる電動機構などを実装。運転席との仕切り上部には、グラブハンドルが追加されている。

1968年からのファントムVIも基本的な構成は同じで、独立したシャシーへボディが架装され、ブレーキはドラム。合計12台が生産され、最後の1台はブルネイ国王へ届けられた。現在でも、数台が公用車として活躍を続けている。

メルセデス・ベンツ 600 プルマン・ランドーレット(1963〜1980年)

標準のメルセデス・ベンツ 600より、遥かに威厳ある雰囲気を漂わせるのが、プルマン・ランドーレット。エアサスペンションや油圧パワーアシストが実装され、同ブランドが掲げた野心的な成長計画へ合致するモデルといえた。

生産数は、W100.015型で計59台。標準の4ドア仕様のほか、6ドア仕様も26台作られている。600のロングホイールベース仕様、プルマンにオープンルーフのランドーレットを設定することは当初から計画にあり、全長は6mを軽く超えていた。

メルセデス・ベンツ 600 プルマン・ランドーレット(1963〜1980年)
メルセデス・ベンツ 600 プルマン・ランドーレット(1963〜1980年)    ルイス・ドゥアルテ(Luis Duarte)

4ドア仕様では、補助席はリアシートと対面式だが、6ドア仕様では前向き。運転席との仕切り部分までルーフを開ける、ソフトトップ仕様も選択できた。

お値段は、600 プルマンが4万1375ポンドだったのに対し、6ドア仕様のランドーレットは1万ポンド増し。最高速度は199km/hで、加速性能も通常の600と遜色なかった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・ヘーゼルタイン

    Richard Heseltine

    英国編集部ライター
  • 撮影

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の英国の自動車雑誌『AUTOCAR』(1895年創刊)。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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