欧州ではブランド最高の販売を記録 ロールス・ロイス・スペクター・シリーズII(1) 新バッテリーで航続627kmへ 高級感には事欠かない

公開 : 2026.08.24 18:05

ロールス・ロイス初のEV、スペクターがシリーズIIへと進化しました。BMW第6世代のバッテリーを獲得し、航続は627kmに。静寂に包まれながら豊満なパワーを味わえる非日常クーペを、UK編集部が試乗します。

欧州で同社最高の販売を記録したスペクター

100年以上の歴史を持つロールス・ロイスにとって、初となるバッテリーEVがスペクターだ。実は、創業者のチャールズ・ロールス氏とヘンリー・ロイス氏が出会った頃は、EVが世間を賑わせていた。1899年の世界最速モデルも、EVだった。

当初のロールス・ロイスが目指したことの1つは、EVのように静かで滑らかな、エンジンモデルを作ること。以来、同社はその技術を追求し、最新のファントムやゴーストに載るV型12気筒ユニットは、世界屈指の洗練度を誇る。

ロールス・ロイス・スペクター・シリーズII(英国仕様)
ロールス・ロイス・スペクター・シリーズII(英国仕様)

そして、EVへのシフトが進み始めた2023年にリリースされたのが、この超高級クーペ。より強い主張を求める人へ向けて、同社史上最強となる「ブラックバッジ」仕様も、2025年に追加されている。

同年には、スペクターが欧州でブランド最高の販売を記録。世界的にも、SUVのカリナンに次ぐ支持を集めており、成功を掴んだといっていい。かくして、乗りやすさを一層高めるべく、シリーズIIとしてのアップデートが実施された。

第6世代のバッテリーで航続距離は627km

現行のロールス・ロイスが採用する、アーキテクチャー・オブ・ラグジュアリーの開発は2014年に着手された。その時点で、EVも視野に入っていたという。とはいえ、ファントムやカリナンなどと、スペクターのシャシーは大きく異なる。

静寂性と剛性を高めるため、フロアは二重構造化され、その間にニッケル・マンガン・コバルト(NMC)セルの駆動用バッテリーが実装される。これまではBMWグループの第5世代ユニットだったが、2026年仕様では円筒形の第6世代へ更新された。

ロールス・ロイス・スペクター・シリーズII(英国仕様)
ロールス・ロイス・スペクター・シリーズII(英国仕様)

寸法は僅かに大きく、重さも増したが、容量は102.0kWhから112.3kWhへ1割ほど増大。これまで若干物足りなかった航続距離は、約2割長い627kmへ伸びている。前後2基の駆動用モーターも増強され、標準仕様で総合601psと103.3kg-mとなった。

ブラックバッジでは、680psと111.9kg-mへ上昇。可変式のエアサスペンションやアンチロールバー、アダプティブダンパー、後輪操舵システムなども再調整されている。

宝石のようなディティールを持つ前後のライト

スタイリング的には、ブラッグバッジ仕様へ新たなトリムやカラーが設定された程度。ヘッドライトやテールライトは、宝石のようなディティールが華美ではなく印象的に映る。ブラシ仕上げの金属トリムが、上品に引き締めている。

アルミホイールは、22インチか23インチと巨大。ノイズキャンセリング技術を備えた、ランフラットタイヤが組まれる。車重は従来から35kg増え、2925kgとのこと。全長は5475mmもあり、軽くはないが、リムジンのファントムより150kg程重いだけだ。

ロールス・ロイス・スペクター・シリーズII(英国仕様)
ロールス・ロイス・スペクター・シリーズII(英国仕様)

アルミ製ドアはリアヒンジで、量産モデルでは最大級。磨き込まれたドアハンドルを引けば、電動で必要な角度まで開く。シートへ座りブレーキペダルを踏めば、自動的に閉まる。ちなみに、両側のドアを全開にするには、4.6mの幅が必要になる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    役職:編集委員
    新型車を世界で最初に試乗するジャーナリストの1人。AUTOCARの主要な特集記事のライターであり、YouTubeチャンネルのメインパーソナリティでもある。1997年よりクルマに関する執筆や講演活動を行っており、自動車専門メディアの編集者を経て2005年にAUTOCARに移籍。あらゆる時代のクルマやエンジニアリングに関心を持ち、レーシングライセンスと、故障したクラシックカーやバイクをいくつか所有している。これまで運転した中で最高のクルマは、2009年式のフォード・フィエスタ・ゼテックS。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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