24金を使った豪華内装にうっとり ロールス・ロイス『ファントム』100周年記念モデル公開 25台限定

公開 : 2025.10.25 07:45

ロールス・ロイスは、『ファントム』の登場100周年を記念する特別仕様車『センテナリー・プライベート・コレクション』を発表しました。高級感あふれるディテールで、これまでの歴史的瞬間を表現しています。

緻密なディテールで100年の歴史を表現

ロールス・ロイスは、『ファントム』の誕生100周年を記念し、25台限定の特別仕様車『センテナリー・プライベート・コレクション(Centenary Private Collection)』を発表した。

100年の歴史を称えるために開発され、「史上最も技術的に卓越した」モデルだという。英国価格はおよそ250万ポンド(約5億円)。

特別仕様車『ファントム・センテナリー・プライベート・コレクション』
特別仕様車『ファントム・センテナリー・プライベート・コレクション』    ロールス・ロイス

ツインターボチャージャー付き6.75L V12エンジンなど、標準的な8代目ファントムと同じパワートレインを維持しつつ、内外装ともに特別な仕上がりとなっている。

デザイナーのマット・デントン氏によれば、エクステリアデザインは「ロールス・ロイスの過去を強く意識」しているという。1930年のファントムIIコンチネンタルに着想を得たツートンカラーを採用し、白と黒の塗装の上にゴールドフレーク入りクリスタルオーバーコートを施すことで、メタリックな輝きを生み出している。さらに、専用のスピリット・オブ・エクスタシーとディスクホイールを装備。フロント、リア、サイドに配された「RR」バッジは、24金とホワイトエナメルで仕上げられている。

最も大きな違いはインテリアにある。まず、ロールス・ロイス初の仕様として、3D寄木細工、3Dインクレイヤー、24金箔が採用されている。

後部座席には時代を超えた3つの物語が描かれている。初代ファントムが発表されたコンデュイット・ストリートの展示場や、ヘンリー・ロイス氏が描いた南フランスの油絵などだ。「サヴィル・ロウのテーラリングの技法に着想を得た」とされ、45枚のパネルを座席形状に合わせて緻密に配置している。

一方、前部座席には手描き原画を基にしたレーザー彫刻のアートワークが施され、ウサギのデザインが特徴的だ。これは2003年にロールス・ロイスが再始動した際のコードネーム「ロジャー・ラビット」へのオマージュである。さらに、ヘッドライナーには44万ものステッチで多くの歴史的要素が織り込まれている。

ダッシュボードには「アンソロジー・ギャラリー」と呼ばれる50枚の3Dプリント製アルミフィンが並ぶ。その1枚1枚に、メディアからの賛辞を引用した彫刻文字が刻まれている。

特に目を引くのはドアパネルの精巧な木工細工で、ファントムがこれまでに歩んできた道のりを表現している。例えば、助手席ドアにはヘンリー・ロイス氏が所有したイングランド南部ウェスト・ウィタリングの夏の別荘の風景が、運転席ドアにはBMW時代初のファントムがオーストラリアを横断した約7200kmの旅路が描かれている。これらの装飾には24金箔、3D寄木細工、レーザー彫刻、3Dインク積層技術が用いられている。

ロールス・ロイスのクリス・ブラウンリッジCEOは、「ファントムは常に人々の記憶に残るクルマです。世界最高のラグジュアリー・プロダクトです。長年にわたり、エリザベス女王、50セント、サルバドール・ダリなど、著名な所有者に愛され、素晴らしい役割を果たしてきました」と述べた。

販売&ブランド担当ディレクターのジュリアン・ジェンキンズ氏は、「ファントムはブランドに欠かせない存在です。世界は変化していますが、特にファントムに対する需要は一貫して高い」と述べ、「25台はすでに世界中で販売済みで、その多くはごく若い顧客にご購入いただいています。これは、このクルマが持つ不朽の魅力を示しています」と付け加えた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    レイチェル・バージェス

    Rachel Burgess

    役職:雑誌編集者
    自動車ジャーナリストとして15年以上の経験を持つ編集者。2016年にニュース編集者としてAUTOCARに加わり、副編集長、編集長を経て、2022年に雑誌担当編集者に就任した。現在は英国で発行される週刊誌およびオンライン版の運営を監督している。業界の有力者へのインタビューを得意とし、世界中で注目されるニュース記事を次々と生み出してきた。英BBCなどの大手メディアにもコメンテーターとして出演することが多い。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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