ルノー・メガーヌ・ハッチバック・ゼン

公開 : 2015.07.13 23:30  更新 : 2022.12.12 21:29

乗り心地は、いわゆる ‘アルデンテ’ である。路面をツルツルすべるように滑らかに走る。夏のソーメンのようにさわやかに。

けれど、このソーメン、イタリアのパスタのように芯がある。スパゲッティというよりはリゾット、お米の芯に比せられるコツコツ感。柔らかい部分と硬い部分の差がクッキリしている。

フツウに高速道路を走っていると、いかにもロード・ホールディングがよさげに足回りが垂直方向に突っ張っている感がある。初代ルーテシア以来のルノーの特徴だ。

つねに路面をタイヤが軽やかに押している。平滑な路面ではたいへん乗り心地がよいけれど、ギャップがあるとわりとショックがある。

ボディ剛性は合格点ながら、ドイツ車のプレミアム・ブランドのように金庫みたいな過剰な硬さは持っていない。石畳のような路面だったら、ジャブの連続でこちらが優勢、ボディをフラットに保っている。

ハンドリングはFWDのよき見本に数えられるだろう。ロード・ホールディングがいかにもよい。フロントのタイヤが大地をサラリとつかんで何気にスイーッと曲がって行く。ステアリングは極めて正確で、アンダーステア感がまったくない。

6速DCTの変速ショック皆無の滑らかさも特筆すべきで、トルクコンバーター型オートマチックよりもシフトを気づかせない。ドイツ型のクリスピーなデュアル・クラッチ式とは味わいが異なる。しっとりタイプがお好きな方向きだ。

記事に関わった人々

  • 今尾直樹

    Naoki Imao

    1960年岐阜県生まれ。幼少時、ウチにあったダイハツ・ミゼットのキャビンの真ん中、エンジンの上に跨って乗るのが好きだった。通った小学校の校長室には織田信長の肖像画が飾ってあった。信長はカッコいいと思った。小学5年生の秋の社会見学でトヨタの工場に行って、トヨタ車がいっぱい載っている下敷きをもらってうれしかった。工場のなかはガッチャンガッチャン、騒音と金属の匂いに満ちていて、自動車絶望工場だとは思わなかったけれど、たいへんだなぁ、とは思った。

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