クルマ漬けの毎日から

2026.06.22

対照的な2台のEVをテスト試乗しました。1台は大型のBMW i7、もう1台はフィアット・グランデ・パンダです。

BMW i7とフィアット・グランデ・パンダに試乗【クロプリー編集長コラム】

もくじ

BMW i7 悪路でも最高の乗り心地
納得! グランデ・パンダの車高

BMW i7 悪路でも最高の乗り心地

今日は気が進まない日だ。信じられないほど気温が高いうえに、この数日テストドライブしていたBMW i7を返却する日だから。

最近乗ったクルマのなかで、このi7のエアコンは最高に性能が高く、運転しはじめてわずか数分で、車内は快適な空間になる。

まだ初夏だというのに、このところイギリスでは厳しい暑さが続いている。だがi7の車内では、その暑さをすっかり忘れてしまうほど快適だ。

BMW i7を借りた大きな理由は、このところ私は小型車に乗る機会が多かったから。最高級クラスのクルマの乗り心地を確認し、自分の感覚をリセットしておきたかったのだ。

AUTOCARでは約1年前にある比較テストを実施し、i7はロールスロイスとベントレーとトップ争いをするほど優れていると認識した。

場合によってはその2台を上回る性能を発揮する。i7はロールスロイスよりも軽快で、ベントレーよりも静粛性が高いからだ(とくにロードノイズは極めて少ない)。

私の地元(イングランド南西部のグロスターシャー)の荒れた道路を運転していて、路面の悪さを気にせずに走ることができたのは久しぶりだ。

その理由は、偉大なクルマがどれもそうであるように、i7も車体全体の大きな動き(ゆったりした上下動、ピッチ、ロールなど)の制御と、小さな凸凹や大きな段差などへのサスペンションの対処が、驚くほど高い次元で両立しているからだ。

ボディは完全にバランスを保っていながら、サスペンションは大きな段差を越える時にも申し分なく柔軟だ。600mile(約970km)走行したが、うまく対処されない場面は一度もなかった。

ちなみにイギリスの自動車販売サイト「オートトレーダー(Autotrader)」によれば、中古のi7は6万ポンド(約1300万円弱)ほどで手に入るという。掘り出し物といっていいだろう(新車価格はざっくり10万~13万ポンド超)。

納得! グランデ・パンダの車高

黄色のフィアット・グランデ・パンダ・エレクトリックを運転して近隣を走り、大いに楽しんだ。

スーパーの駐車場では扱いにくいBMW i7とは、まさに対照的だ。グランデ・パンダのEV版は、期待していたほど出足の鋭さはないが、ステアリングフィールと軽快感はトップクラスに匹敵する。

ところで、車高が高いことには驚かされるが、近くの駅まで友人2人を送っていった時、その理由がわかった。後席に大人が乗ってもまったく窮屈さがなく、しかもルノー5やミニよりもずっと自然でラクな姿勢で座れるのだ。

話は変わるが、フィアット・グランデ・パンダ・エレクトリックが登場した時、このクルマの車載充電ケーブルの仕組みは最高のアイディアだと思った。

というのも、クルマのラゲッジルームの床が充電ケーブルの置き場にならずにすむし、フロントグリル内に充電ケーブルが格納(一体化)されていて、フロントから直接引き出せるので、充電スタンドでの駐車位置を考えても一番合理的だと思えるから。

ところが、このグランデ・パンダの返却日に1つ問題が起きた。クルマを引き取りに来たドライバーが、私がケーブルを失くしたのではないかと勘違いしたのだ。

彼にケーブルの定位置はノーズの内側であることを伝えると、すぐにその疑いは晴れたが……。

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    役職:編集長
    50年にわたりクルマのテストと執筆に携わり、その半分以上の期間を、1895年創刊の世界最古の自動車専門誌AUTOCARの編集長として過ごしてきた。豪州でジャーナリストとしてのキャリアをスタートさせ、英国に移住してからもさまざまな媒体で活動。自身で創刊した自動車雑誌が出版社の目にとまり、AUTOCARと合流することに。コベントリー大学の客員教授や英国自動車博物館の理事も務める。クルマと自動車業界を愛してやまない。
  • 翻訳

    小島薫

    Kaoru Kojima

    ドイツ自動車メーカーの日本法人に在籍し、オーナーズマニュアルの制作を担当。その後フリーランスで翻訳をはじめる。クルマはハッチバックを10台以上乗り継ぎ、現在はクーペを楽しんでいる。趣味はピアノ。

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