ターボ加給が行われるエンジンは、シューという甲高い音を発しながら唸り、震え、喚く。‘ロード’ と ‘レース’ と呼ばれるスペックに分けられておりテスト車両は後者であったが、エンジンがガバガバと空気を吸い込む音をすぐそばで聞くことができた。

グッド・ニュースとして3000rpm以上のスロットル・レスポンスの鋭さが挙げられる。エンジンは軽やかに回り、スーパー・スポーツカー顔負けの押しの強さを見せつけてくれる。ミドル・レンジのトルクもあり余るほどだ。

シャシーも然り。途方もないスピードに達しても、不安はまったくない。グリップ・レベルも十二分。鼻先の動きも歯切れがよい。狙ったとおりのラインを寸分違わずトレースできるのもこのクルマならではである。

ボディ・ロールはわずかに見受けられるが、これを起因とするオーバーステアは皆無。バンプによる衝撃をうまく吸収してくれるため、公道を走っても不快に感じることは少ない。

■「買い」か?

仮にオーバー・スピードでコーナーに飛び込んでも、ある程度のところまで許容してくれ、サーキットで遊んだ後にそのまま運転して帰れる玩具をお探しならば買い。

できて間もないゆえ、まだまだ完璧の域には達していないが、思いがけず成熟したサーキット・カーに出会えたと感じている。

さらに、よりハードコアなモデルがのちに登場するというのだから、今から楽しみでならない。

(マット・ソーンダース)

ヴォール05

価格	£59,995(1,155万円)
最高速度	245km/h
0-100km/h加速	3.7秒
燃費	NA
CO2排出量	NA
乾燥重量	725kg
エンジン	直列4気筒1999ccターボ
最高出力	289ps
最大トルク	42.9kg-m
ギアボックス	6速マニュアル