これ以外のスイッチは他のトヨタのモデルのものをそのまま流用している。ディスプレイがモダンなだけに、もう少しオリジナリティがあってもいいのかもしれない。広々としたキャビンの質感は3代目のプリウスとほとんど変わらない。

大げさなデザインは、硬いプラスティックや柔らかいマテリアルから構成されている。車両価格からするとチープさに文句を言いたくなるが、静的質感は悪くない。がっちりとパーツどうしが組み合わされていると感じる。

先述のとおりフロント・シートのフューエル・セル・スタックが隠れているためポジションは高め。したがって四隅の見晴らしはいい。

シート数は4座に限られているものの長いホイールベースゆえリア・シートの膝周りは広々としている。ただし水素タンクの影響で荷室は361ℓに制限されている。

目に見えない部分が先進技術で溢れかえっているが運転は他のクルマと同じように行える。電源を入れ、ギアレバーをDに。アクセルを踏めば前に進む。

発進してからの所作は驚くほどなめらか。人工的な高周波音がスピーカーから聞こえる以外はまったくもって静かである。

二重のサイド・ガラスとノイズ低減デバイスのおかげでタイヤ・ノイズもほとんど聞こえてこない。外界から ‘隔離’ されているという表現がふさわしいといえる。

車重が1850kgもあるにもかかわらず、思ったよりも素早く速度を積みあげる。ストップ&ゴーが多い市街地でも苦痛に感じることはまったくない。

ただしこれはあくまで ‘先進技術を主としたクルマとしては……’ という条件つき。事実、0-100km/hタイムは9.6秒もかかるし最高速度は180km/hに限られている。