フォルクスワーゲン・ゴルフGTiクラブスポーツ

公開 : 2015.11.26 23:40　　更新 : 2017.05.29 18:57

コーナーへの侵入の段階で高いアジリティを看取できるのは、クイックになったエレクトロ-メカニカル・ステアリングの味付けによるところも大きいだろう。アクションは極めて正確で、フィードバックも適切。狙いを定めやすく、またアジャストしやすい。

ダンパーの設定にも不満はない。横方向の力が加わってもボディはしっかりと路面を掴んでおり、コーナー出口でも車輪はスピンひとつせずにクリアしていく。パワーはあますことなく路面に伝わり、GTiパフォーマンスよりも10秒速くノルドシュライフェを駆けた事実にも納得。XDSエレクトロ-メカニカル・デフには恐れ入る。

かなりハードな運転をしたときのみ、フロント・エンドがスッと路面を捉えることをやめてしまうことがあるが、ブレークがはじまる限界点は極めて高い。リワークされたシャシーのおかげで満足に足るアジャストができ、スロットルの微細な操作だけで狙ったラインをトレースできるのもいい。

さすがに乗り心地や硬いが、これほどのコントロール性能ならば納得のいくもの。ただこれは、あくまでポルトガルのスムーズな道を走った際の印象であるから、英国のバンピーな道でどのような振る舞いをするかはきちんと後日見極めたい。さほど悪い結果にはならないと思うが……。

■「買い」か?

ハンドリングだけは、フォード・フォーカスSTの領域には達していないが、それ以外のあらゆる乗り方やコンディションに対する適応能力の高さは、十分におすすめするに値する。

しつこいようだが、サーキットでの一体感ある身のこなしや力強いパフォーマンス、ドライバーを奮起させるハンドリング、アジリティの高さは、もはや群を抜いている。また、スポーツ・シートのサポートもとてもいい。

アップグレードしたサスペンションが酷い道のうえでどのような影響を及ぼすかは冷静にチェックする必要があるが、第一印象はとてつもなくポジティブだ。加えて、14.9km/ℓの燃料消費率は155g/kmのCO2排出量もドライバーに対してフレンドリーだといえよう。

もしこの手のクルマを好むならば、早めの決断をおすすめする。8代目のゴルフの生産開始を見据えて、来年の2月から8月にかけてごく限られた台数しか生産する見込みはないとフォルクスワーゲンは話している。

(グレッグ・ケーブル)