シビック・タイプRから奪ったFF最速の称号 フォルクスワーゲン・ゴルフ GTI エディション50(1) EA888エボ4で325ps らしい控えめな美学

公開 : 2026.08.26 18:05

誕生50周年を記念した、フォルクスワーゲン・ゴルフ GTI エディション50。325psのEA888型エンジンと専用シャシーで、ニュルFF最速の称号をシビック・タイプRから奪取しています。UK編集部が試乗します。

7分44秒5のラップタイムを記録し華々しいデビュー

フォルクスワーゲン・ゴルフ GTIが、誕生50周年を迎えた。オールラウンダーといえる傑作ホットハッチは、当たり前のような存在として路上で存在感を放ってきた。50年、半世紀もの歴史を持つことへ、実感は湧きにくい。自分の年齢のように。

この節目を祝うべく、投入されたのがエディション50。同社は5年刻みで周年を祝ってきたから、予想された登場といえた。だが、ドイツのニュルブルクリンク・ノルドシュライフェで7分44秒5のラップタイムを記録し、華々しいデビューを飾っている。

フォルクスワーゲン・ゴルフ GTI エディション50(英国仕様)
フォルクスワーゲン・ゴルフ GTI エディション50(英国仕様)

FF最速モデルの称号を、0.3秒差でFL5型のホンダシビック・タイプRから奪ってみせた。日本屈指のホットハッチを対等なライバルとみなし、あえてフォルクスワーゲン自ら高いハードルを設けたともいえる。

では、公道での動的能力や運転体験でも、シビック・タイプRを超えたといえるだろうか。歴代のゴルフ GTIで、ひときわ高い人気を得るであろうことは想像に難くないが。

エボ4で325psへ上昇したEA888型エンジン

50周年を祝う記念仕様の英国価格が、4万8075ポンド(約1034万円)なことへの受け止め方は、人によって異なるだろう。少なくとも、AUTOCARが「FFのポルシェ911 GT3」と絶賛した、7代目ゴルフ GTI クラブスポーツSの再来ではないといえる。

GTI エディション50には、それに備わらなかった後席がある。新デザインの19インチ・ホイールを履き、DCCプロ・アダプティブダンパーは専用チューニングにある。だがそれ以外は、通常の8代目ゴルフ GTI クラブスポーツの延長。6速MTも選べない。

フォルクスワーゲン・ゴルフ GTI エディション50(英国仕様)
フォルクスワーゲン・ゴルフ GTI エディション50(英国仕様)

過去を知っていると、若干普通に思えなくはない。それでもEA888型ユニットは、エボ4として進化。最高出力は325psへ上昇している。オプションの「パフォーマンス・パッケージ」仕様なら25kg軽くなり、1tあたりの馬力は225ps/tとなる。

これは、一連のゴルフで最高値。最高出力では、よりお手頃なゴルフ Rの333psへ届かないとしても。ちなみに車重は、ガソリン満タンで量って1419kgだった。

一層の強化を受けるパフォーマンス・パッケージ

見た目は、ドラマチックに差別化されている。前端には大きなエアインテークが空いたバンパーが組まれ、奥でインタークーラーが鈍く輝く。専用のステッカーが、各所を彩る。

パフォーマンス・パッケージを選べば、アクラボヴィッチ社製チタン・マフラーを獲得。車高が5mm落ちるハードなスプリングが組まれ、ネガティブキャンバーは強められる。ブリヂストン・タイヤも、ポテンザ・レースへアップグレードされる。

フォルクスワーゲン・ゴルフ GTI エディション50(英国仕様)
フォルクスワーゲン・ゴルフ GTI エディション50(英国仕様)

DCCプロ・ダンパーも一層の調整を受け、リアのマルチリンク・サスペンションは取付部分が強化。ステアリングの感触を磨くため、ストラット上部のマウントやブッシュ類も強化品になり、ドライブモードにはスペシャル・ニュルブルクリンクが追加される。

42.7kg-mの最大トルクを受け止めるのは、7速デュアルクラッチATと、クラッチ制御によるリミテッドスリップ・デフ「VAQ」。ブレーキ制御によるトルクベクタリング・システム「XDS+」も備わる。速いことに対する技術に、不足はない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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