アウディRS5 サルーン(2) 公道で効能を体感できる「ダイナミックトルク」 EVのようにも走れる突然変異的進化

公開 : 2026.09.23 18:10

先代RS4譲りのV6ツインターボと176psモーターを組み合わせたプラグインハイブリッドとなった、アウディRS5をUK編集部が試乗します。遊星ギアを用いたトルクベクタリング・リアデフに注目です。

176psのバッテリーEVのようにも走れる

プラグインハイブリッドになったアウディRS5は、スタートボタンを押しても静か。望めば、176psのバッテリーEVのように走れる。試乗時は、約70kmを電気だけでまかなえた。0-100km/h加速は10.5秒と鋭く、シフトパドルで回生ブレーキも調整できる。

駆動用モーターは、エンジンと8速ATの間。EVモードでも走行中は変速があり、その度にモーターの回転数も変化し、スーパーチャージャーのような響きで悪くない。反面、我慢しながらRS5を走らせているような感覚を伴う。

アウディRS5 サルーン(英国仕様)
アウディRS5 サルーン(英国仕様)

通常のドライブモードでは、必要に応じて2.9L V6エンジンが始動するが、やはりRSモードを選ぶのが良い。もしくはシフトセレクターでSを選択すれば、控えめながら、M3にも似たザラついたサウンドで気持ちを鼓舞してくれる。

回転上昇は鋭く、高域ではドライな咆哮を放つ。積極的にアクセルペダルを操れば、オーバーランの破裂音が混ざる。もう少し、個性的な音色なら一層喜ばしい。

全開時は背中がシートへ押し付けられる639ps

システム総合の最高出力は639psと相当なものだが、車重は約2.4tと軽くない。動的能力は、BMW M5のように若干制限されるといえる。それでも、ハイブリッドが補完するアクセルレスポンスは圧巻。ギアを問わず、全開時は背中がシートへ押し付けられる。

0-100km/h加速は3.6秒で、約50km/hから110km/hへの中間加速は2.9秒で処理する。ブレーキは、カーボンセラミック製も選べるが、スチール製でも制動力は充分。ディスクの直径は、前が420mmで後ろは400mm。ペダルはソリッドで、扱いやすい。

アウディRS5 サルーン(英国仕様)
アウディRS5 サルーン(英国仕様)

8速ATは低速域では滑らかに、高負荷時には素早くギアを切り替え、パドルの反応も素晴らしい。ただし、レブリミット間際のシフトアップでは、システムが追いつかずリミッターへ当たることはあった。

公道でも効能を体感できる「ダイナミックトルク」

新たに獲得した「ダイナミックトルク・コントロール」は、サーキットへ持ち込まずとも効能を体感できる。高めの速度できついカーブへ飛び込めば、アンダーステアもタイヤのスキール音もなく、フロントノーズは鋭く向きを変える。

まるで強力なダウンフォースが効いているように、サーキット用タイヤを履いたかのように、ブリヂストン・ポテンザ・スポーツはラインを捉え続ける。揚力を軽減する、スポイラーやディフューザーは追加されているとしても。

アウディRS5 サルーン(英国仕様)
アウディRS5 サルーン(英国仕様)

カーブの出口でアクセルペダルを深く倒せば、電子制御システムと協働してアクティブデフがトルクを分配。軽いオーバーステアを引き出せ、条件が許すなら、興奮を誘うドライバーズカーとして操れる。高度な技術の介在を、実感もするが。

可変レシオのステアリングは、出色の出来。直進時は落ち着きに優れ、切り始めから正確で、深く傾ければクイックに反応する。フィードバックはやや薄いものの、それはライバルも同様だろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

アウディRS5 サルーンの前後関係

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