ポルシェ911 カレラS凌駕の中間加速 フォルクスワーゲン・ゴルフ GTI エディション50(2) 荒々しくも大人な絶妙バランス 熟成の究極形

公開 : 2026.08.26 18:10

誕生50周年を記念した、フォルクスワーゲン・ゴルフ GTI エディション50。325psのEA888型エンジンと専用シャシーで、ニュルFF最速の称号をシビック・タイプRから奪取しています。UK編集部が試乗します。

ダッシュ力でもホンダシビック・タイプRを凌駕

ドイツ・ニュルブルクリンクで、FFモデルの最速ラップタイムを塗り替えた、フォルクスワーゲン・ゴルフ GTI エディション50。我々が計測した0-97km/h加速は4.9秒で、ダッシュ力でもホンダ・シビック・タイプRを凌駕してみせた。

ローンチコントロールに加えて、クロスレシオの7速デュアルクラッチATが効果的だったことは間違いない。だが97km/hへの加速に、シビック・タイプRは1度のシフトアップで済むが、GTI エディション50は2回と、息継ぎが1回多かったことも事実だ。

フォルクスワーゲン・ゴルフ GTI エディション50(英国仕様)
フォルクスワーゲン・ゴルフ GTI エディション50(英国仕様)

中間加速も唸るほどで、約50km/hから110km/hへの上昇に要した時間は、たった3.7秒。シビック・タイプRより、0.7秒も鋭い。992型のポルシェ911 カレラS比でも、0.1秒速い。1.6kmの直線加速では、240km/hを余裕で超えてもいる。

制動距離も優秀。乾燥路面で約110km/hから停止するまでに、41.8mしか要さなかった。ただしブレーキペダルの感触は、期待より柔らかめ。グリップ状態を感じ取れるフィードバックが薄く、ABSが効く手前での制御が少し難しく思えた。

圧巻の落ち着きでゴルフ GTIの究極形

EA888型エボ4エンジンは、見事なレスポンス。少しこもったような音質ながら、チタン製マフラーはエッジーな響きを放ち、アクセルオフでの破裂音も楽しめる。シビック・タイプRの、モータースポーツ直系といえる強刺激には届かないとしても。

チャレンジングな一般道での、シャシーの落ち着きは圧巻。まるでエンジンが実際より150mmほど手前に載っているような、慣性を感じさせない回頭性も実現している。

フォルクスワーゲン・ゴルフ GTI エディション50(英国仕様)
フォルクスワーゲン・ゴルフ GTI エディション50(英国仕様)

ステアリングは、従来のゴルフ GTIより重め。速度域が上昇すると、手応えは滑らかになり、反応の精緻さが増す。グリップの限界を伝える情報量は濃くないものの、挙動は一貫し、トルクステアはほぼ皆無。粗野な振動は遮断され、操る自信を抱きやすい。

熟成を重ねた、ゴルフ GTIの究極形と表現できる。それでも、シビック・タイプRで楽しめる、アクセルオフでのタックインのような特徴があってもいい。電子制御LSDの効果で、ウェットでのアンダーステアも抑えられているが、物足りなさもなくはない。

ドライバーが性能を引き出す高揚感を得にくい

ゴルフ GTI エディション50は、ブリヂストン・ポテンザ・レースの強力なグリップの見返りとして、アクセルオフでの挙動が沈着。サーキットを攻めてみても、これまでの系譜通り、安定性重視のシャシー特性にある。

どこか、血気盛んな印象が薄い。乗ればすぐに速さを堪能できる反面、路面状況を読み、ドライバーが性能を引き出すような高揚感は得にくい。贅沢な要求かもしれないが。

フォルクスワーゲン・ゴルフ GTI エディション50(英国仕様)
フォルクスワーゲン・ゴルフ GTI エディション50(英国仕様)

DCCアダプティブ・ダンパーは15段階に調整可能だが、スポーツやニュルブルクリンクなど、各モードのプリセットで走ることが多いはず。スポーツ・モード時の乗り心地は、やや硬めでもしなやか。気負わず乗れ、長距離ドライブの良き伴侶になってくれる。

走行中の車内は、充分に静かでもある。約110km/h時のノイズは68dBA。よりシリアスな特性にある、シビック・タイプRは70dBAだった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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