自分のスピード感覚が完全に狂う ネバダ・オープンロード・チャレンジ(2) 合法で公道を飛ばせる 最大の難関は狭い渓谷

公開 : 2026.08.19 18:10

世界最長の公道コースで競う、アメリカ・ネバダ州のオープンロード・チャレンジ。勝敗は、目標の平均速度へいかに接近できたか。UK編集部員が、愛車のフォルクスワーゲン・ゴルフ GTIで挑戦します。

無惨な姿のフェラーリ488 チャレンジ・エボ

ネバダ州の公道で競われる、「ネバダ・オープンロード・チャレンジ」。スタート後に優先することは、目標の平均速度を可能な限り短時間で上回ること。止まった状態から計測は始まり、しばらくは平均速度を下回ることになるからだ。

序盤の区間は、本当に砂漠のど真ん中を突っ走る。ルート318は完全に封鎖され、30秒毎に1台ずつスタートするため、ライン取りは自由だが、センターラインを跨いで走るのがベスト。緩やかなカーブもあり、左右を良く見渡せる。

ネバダ・オープンロード・チャレンジへ挑むフォルクスワーゲン・ゴルフ GTI
ネバダ・オープンロード・チャレンジへ挑むフォルクスワーゲン・ゴルフ GTI

筆者が挑んだのは、ツーリング・クラスに属する、時速110マイル(約177km/h)クラス。後方へ景色は吹き飛び、地平線付近のアスファルトはカゲロウを漂わせる。

幻想的な情景に少し気を奪われていると、無数の破片とタイヤ痕が目前に迫る。コース脇の牧草地に、クラッシュしたフェラーリ488 チャレンジ・エボが止まっていた。無惨な姿だったが、ドライバーとコドライバーが命を落とすことはなかったらしい。

コース最大の難関は渓谷地帯の「ザ・ナローズ」

常に危険が隣り合わせだと再確認しつつ、速度調整へ集中する。好成績を残すには、速度と時間の計算がカギとなる。平均時速110マイルの場合、1マイル(約1.61km)を32.73秒で走る必要がある。

コース最大の難関が、ザ・ナローズと名付けられた場所。往路の110km付近に存在する、渓谷地帯だ。逆バンクや、崖が迫り先が見えないカーブ、短いストレート、急勾配などが連続して現れる。この区間も、平均時速の計測へ含まれる。

ネバダ・オープンロード・チャレンジへ挑むフォルクスワーゲン・ゴルフ GTI
ネバダ・オープンロード・チャレンジへ挑むフォルクスワーゲン・ゴルフ GTI

「渓谷へ入る前に、時間の貯金を作っておく必要があります。あそこでのタイムロスは避けられませんから」。スタート前、とあるベテラン・ドライバーが筆者へ忠告してくれた。「走る速度を決めるのは道です。ドライバーじゃないですよ」とも。

最高速度と最低速度も、指定されている。時速110マイル(約177km/h)クラスの場合、上が時速124マイル(約200km/h)で下が80マイル(約128km/h)。ルート上には速度計測ポイントが見えないように点在し、この範囲を超えると失格になる。

速度の維持には相当な集中力が必要

ザ・ナローズの遥か手前から、フォルクスワーゲン・ゴルフ GTIの速度は177km/h以上。そこまでのルート318は、視界を遮るものが殆どない。普段は許されない速度域でも変化は乏しく、特別感が薄れていく。だが渓谷が近づくにつれ、緊張感が高まる。

岩の壁が突然迫り、幅員も狭くなる。カーブが次々に現れる。高めの速度を保つには相当な集中力が必要で、気を引き締める。タイムロスは、最小限に抑えたい。

ネバダ・オープンロード・チャレンジへ挑むフォルクスワーゲン・ゴルフ GTI
ネバダ・オープンロード・チャレンジへ挑むフォルクスワーゲン・ゴルフ GTI

冷静にザ・ナローズを通過し、残りの約30kmは再び砂漠の直線。平均速度を調整するため、有効に走らなければならない。クルマへ負担をかけずに、完走することも必要だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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