トヨタ・パッソX Gパッケージ

公開 : 2016.05.02 23:50  更新 : 2021.01.28 18:13

  • 高い質感の兄弟車ブーン・シルク(上写真も)。約21~28万円高でこのインテリアが手に入る。

  • 外装・内装以外は、兄弟車とパッソに差はない。デュアルポート、デュアルインジェクター、CVT制御変更。軽の技術で発進、追越し、登坂を力強く。

走らせてみれば燃費一点張りでもなく、要点を押さえたウェルバランス型である。

1ℓの排気量、しかもアトキンソンサイクル稼働中の実吸気量は6割程度。トルクに乗せてぐいぐい加速なんて望むべくもないのだが、非力感を感じさせない制御が巧み。中速巡航からの緩加速でもダウンシフトから入る。巡航時のエンジン回転数は1500回転以下に制御されているが、軽くアクセルを踏み込んだだけでじわじわと回転が上昇。緩加速でも2000回転プラスくらいにはなる。

ドンっと回転上昇しないのはCVTならではだが、じわじわダウンシフトの回転上昇が速度変化と妙に一致している。加速時使用回転域はトルクの余裕のなさを示しているが、運転感覚では伸びやかな加速感を示す。

悪く言えば錯覚させているのだが、クルマなりの自然な運転で省燃費ゾーンを維持するには、この味付けが利く。要するにふつうに走らせて燃費が出やすいわけだ。

実践的ウェルバランスはフットワークも同様である。沈み込みストロークは締め気味であり、1名乗車で荒れた舗装を走らせると細かな上下動が多い。ゴツゴツした振動ではないがしっとりとした落ち着きがない。「しっかりアシの軽量車」が乗り心地に現れている。

FF車の車重は910kgである。体重55kg一人乗車なら965kg、4名乗車なら1130kgになる。4名乗車の重量は1名乗車の約17%増であり、リアサスに限定すれば負担は25%増と予想される。硬めのサスチューンは4名乗車の高速操安まで配慮した結果でもある。

ならば操安はどうか? 操舵追従よく軽快なハンドリングを示す。軽量小型車らしいが、中高速コーナリングでも後輪の接地が落ち着いているので、方向安定も良好である。軽く回り込む弱アンダーステアと言ってもいい。

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