■「買い」か？

価格は高いがこのクラスを選ぶひとにとっては……

テスラ・モデルSはこのように、その能力を存分に発揮できる状況で走ると、かなり魅力的なクルマだ。けれども、それを享受するにはいくつかの壁がある。そのひとつは、全長4979×全幅1950㎜、ホイールベース2960㎜というボディ・サイズ、もうひとつは試乗したモデルSのP100Dという仕様で1704.1万円になるプライスだろう。

とはいえこの2点は、例えばメルセデスSクラスあたりを所有するユーザーによっては特に問題とはならないもののはずだ。ただそういうユーザーの場合、テスラのインテリアのクオリティに満足できるかどうか疑問がある、という意見があったことも書き添えておこう。

ただし、テスラに興味を持つ層は、メルセデスSクラスのような伝統的な高級車に乗り続けている層とは必ずしも一致しないのではないか、とも思える。つまりそれは、既存の高級車の魅力とは異なる、新しい「何か」を持つクルマに興味を感じる層ではないか、ということだ。

サイズ、プライス、充電環境、経済力があるなら間違いなく買い

であるとするなら、内装のクオリティはクルマを選択する際の決定的な要素にはならないのではないか、とも推測できる。あるいは、既存の高級車とは異なるテイストのデザインに魅力を感じる、ということもあるかもしれない。実際に僕が、そう考える人間のひとりだからだ。

それはそれとして、テスラ・モデルSを「買い」とするには、すでに書いたボディ・サイズとプライスに加えて、自らの居住地域及びその周辺、もしくはしばしば訪れる場所の充電環境が整っているか、という点が最も重要なポイントになるのではないだろうか。これが整っていないと、せっかくのスーパーEVが宝の持ち腐れになりかねない。

逆にいえば、サイズ、プライス、充電環境のすべてがクリアできる環境にあって、なおかつ既存のクルマとは違う「何か」を求めるのであれば、テスラに乗ってみる価値はあると思う。その際、0-100km/h加速2.7秒のP100Dではなく、それが4.4秒という、それでも充分に速い加速とより長い航続距離を実現した100Dを選ぶ、という選択もアリかもしれない。

テスラ・モデルS P100D

価格	17,041,000円
全長×全幅	4979×1950mm
ホイールベース	2960mm
航続距離	613km
CO2排出量	0g/km
乾燥重量	2239kg
エンジン	モーター × 3
最高出力	612ps
最大トルク	98.6kg-m
ギアボックス	シングルスピード