回顧録(6) BMW 2002ターボに試乗 「マルニ」は今でも刺激的

公開 : 2017.08.20 17:40

2002、刺激的な中にも安心感

改良されているサスペンションは、旋回方向が変わる際にロールし、セミトレーリングアームを架装した素晴らしく気まぐれなリアが楽しさ、いや、ウェットならば恐怖を倍加する。

乗り心地は快適であり、ダンパーの効きも良いものの、185/70VR13タイヤのグリップに妥協は一切見られない。

このおかげで、今回走った、コーナーや高低差の多いソールズベリーの道でも安定感を見せ、扱いやすいと感じた。VDO製のブースト計が躍動した時の加速感は、現代の基準をもってしても刺激的だ。

思わず笑いが込み上げてくる。エンジンの回転数が上がるにつれ、ターボチャージャー搭載シングルオーバーヘッドカムの4気筒エンジンは、レッドゾーンに入っても余裕を失ったり、息切れしたりする感じはない。

しなやかで単純な2002の運転は、冷や汗をもたらし、安全性の限界に挑むといった感じは全くなく、刺激的な中にも安心感がある。

2002をドライブするのは、とても楽しい。刺激に慣れてしまい、感覚が麻痺してしまったドライバーでさえ、気持ちが若返るに違いない。

それはまるで、住宅ローンの金利や、コレステロール値など、人生が『思考の流れを絶えず中断する雑事』になってしまう前の17才の頃の自分をタイムカプセルに詰め、2002がそのままの状態で目の前に突きつけてくれたような体験だった。

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